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山の本が増殖中です。

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twitterなどで細々告知してました、山の本特設コーナーが増殖中です。ここに収まりきらず、200円、100円均一にも並べましたので、どうぞご覧ください。

力作の看板ですが、今となっては、世界遺産にロープウェイ…。 なんか、すみません。
道灌山麓のしがない古本屋の白昼夢としてお目こぼしください…。

富士山で思い出すのは、あれは高校生一年のことだったでしょうか、わが母校の風物詩として、富士山の登山というのがありました。

山中湖にログハウス風の学校の寮があり毎年合宿はしていたものの、中高一貫のキリスト教系の女子校には、鉄棒も、プールもなく、校庭も狭く、体育といえば、いつも赤いポロシャツを着て胸を張った(実際、胸がツンと上を向き、お尻も足首もキュッとしていた)白髪混じりのベティちゃん似の小池先生が、フォークダンスや爪先立ち歩きを熱心に教えてくれた記憶ばかりが甦るそんな学校が、なぜ、富士山だったのか。

富士登山を迎える学年は、新学期がはじまると同時に、足腰の鍛錬のため「階段上り」という日課をこなすことになります。
生物室や美術室が集まる、四階か五階建ての第二校舎の一階から最上階まで、一段ずつ階段を上り、下りてくる。朝な夕な体育着に着替えては階段登山。その往復回数が、正確な数字は忘れましたが、5回、10回、15回と、週ごとに増やされていきます。ヤケクソまじりの一種のクライマーズ・ハイだったのか、妙なテンションの後味が今もうっすら残っています。

そうして迎える、富士登山。
しかし焼き付いているのはひとつの風景だけで、山頂はおろか、東京からバスだったのか、電車だったのか、山道、友だちと何かしゃべったか、お弁当、下山した後のこと何ひとつ記憶がない。

焼き付いているひとつの風景とは、あの恐ろしい大沢崩れだ。
二重顎でひっつめの田中先生は、私はここから違う道で合流するから、みなここを渡れと言う。

富士山の裂け目から、急斜面の黒い火山礫がむき出しになっている。下までずうーっと。

草も生えていない、地獄の入口か、ここは。

目の前でもころころ、さらさらと小さな崩れが起きては、軽い石が跳ねながら地獄へ吸い込まれていく。足の重みを土や岩のように受けとめてくれないであろう火山礫。

私の富士登山は、その光景しか記憶がないのだった。

あれはほんとうになんだったのか。
人智の及ばないこともある、という実践教育だったのか。

30年以上の時を経て、この帳場と富士山がロープウェイで繋がったらさぞ楽しかろうと夢想する中年女が、ただに居るだけ。
 

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尾瀬  第一部 平野長英/第二部 川崎隆章
福村書店 昭和23年

 

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山の絵本 尾崎喜八
朋文堂 昭和17年

雲と草原 尾崎喜八
朋文堂 昭和17年

ともに 装幀 眞垣武勝

 

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季節風の歌 串田孫一
日本交通公社 昭和46年

画文集 山の独奏曲 串田孫一
山と渓谷社 昭和49年

 

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雪の遺書 日高に逝ける北大生の記録 沢田義一
大和書房 1966

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雪の山旅 スキー・ツーア 小島六郎 渡邊公平
三省堂 昭和9年 地図4枚付き

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