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請願を書いたこと。シビックセンターに行った日の日記。

区役所に請願書を提出するなどと、思ってもみなかった体験をしたのでその日のことを。

「パレスチナ全域での即時停戦と早期に平和の実現を求める請願」

提出したのは、2月5日月曜の定休日。
京都市長選挙でまさかまさかの立憲民主党が自民党と組んで推薦した候補者が当選するという悪夢の翌日だった。

昨年末、同じ題で陳情書を提出したのだが、きっかけは、昨年の夏にたまたま議員になる前から知り合いだった浅田やすおさんと会話する機会があったこと。そのときは立憲民主党にはいつも肝心なところで泉さんに失望させらると苦言を呈したのだったが、思っていたことを伝えられたことが大きかった。信じられないような殺戮がはじまり、当然地方自治体からも何らかの発信があるものと思っていたが、ぽつりぽつりといった印象で、それなら請願書を出さないといけないのかなと思いはじめた。そのときに浅田さんに相談してみようと思ったのだ。夏の会話が敷居を低くしてくれたと思う。まぁ、今回は、辻元さんが自民推しの候補者を応援したことへのショックを伝える羽目になってしまったのだが。

陳情書のときから事態の悪化が著しく、陳情書からだいぶ文面を変えてしまったので改めて読んでいただく。簡潔にとのアドバイスをいただいたり、過去に日本政府はイスラエル政府に対し入植活動の完全凍結を強く求めていると教えていただいたので付け加えた。そのやりとりの間も事態は更に深刻に。なんとかUNRWA拠出金のことを書き加えた。政党のスタンスに関わらず読んでいただけそうな文面になったのではないか。

当日。わたしは雪予報にめげてコミュニティバス「文京Bーぐる」で途中忘れ物に気づき10分遅刻してシビックセンターに到着。高層階行きシースルーエレベーターで集合場所の22階へ。議員さんというと、マイクを手に名前を連呼している選挙活動の姿がまず浮かんでしまうが、降りたフロアは対極の静寂に包まれている。窓からの風景は、地面よりも空に近いと感じる。
受付の方に浅田さんのお名前を告げると笑顔で応接室をご案内くださる。受付の向かいの壁には、議員の在不在が一目でわかる党派別氏名一覧が電光掲示されている。

浅田さん、自転車で先に着いていた宮地さんと合流。このフロアには文京区議の会派控室が並ぶ。今回初めて知ったのだが、“区議会も会派のくくり”で活動なさっているのだ。

さっそく浅田さんが所属する「政策チームAGORA」の部屋へ。沢田けいじ区議、海津敦子区議が在席されており、突然の訪問にも関わらず説明に耳を傾けてくださる。昨年末に陳情書を提出済みなので、そちらも目を通してくださっていたようで、海津さんが、ほかにもパレスチナに関する請願が提出されていること、維新・馬場代表が声明文を出していることなどを具体的に教えてくださる。

請願書には区議の紹介が必要なことは文京区議会のサイトで知ってたので、自分たちの請願には浅田区議のお名前をいただくものと思っていたが、各会派をまわり趣旨説明し(請願書を受け取るだけのところもある)、賛同してもらえる場合は、会派からどなたか1名の署名を書いていただくと、その会派分の賛同が得られたことになり、通りやすく?なるのだそうだ。
文京区議会「傍聴、請願・陳情

なので、ひと部屋ひと部屋説明にまわることに。ノックと最初の声掛けだけ浅田さんがしてくださり、AGORAの次に入ったのは「日本共産党文京区議会議員団」の部屋。壁一面に文京区の巨大な地図が貼られている。
金子てるよし区議、小林れい子区議、板倉美千代区議、千田恵美子区議、石沢のりゆき区議が在席なさっていて、みなさん集まってくださる。宮地さんとふたり、請願書を手に、イスラエルによる虐殺を止めたいこと、ヨルダン川西岸地区での攻撃もエスカレートしていること、UNRWA資金拠出を継続してほしいことなどを伝える。みなさん真剣に耳を傾けてくださり、金子区議は、陳情書を読んで店にも来てくださっていたので、ぎこちない説明だったがあまり緊張しないで済んだ。

ヨルダン川西岸地区のことは、たまたま高橋美香さんがこの時期にジェニン難民キャンプの友人宅に滞在しており、現地から投稿が生々しく、夜の攻撃音や、ブルドーザーで水道管を破壊され(直してもすぐまた壊され)ていること、近くの病院内で医師に扮したイスラエル兵が入院していた若者と付き添いの方など3名を射殺したことなど、ほぼリアルタイムで知りショックを受けていることをお伝えした。

次は、公明党。松丸昌史区議に説明をする。わたしたちが古本屋のせいか、学生時代に谷中ぎんざの武藤書店でアルバイトをなさってたエピソードを披露してくださった。

文京永久の会(とわのかい)は、この日はご不在。

一人会派の議員は同じ部屋にそれぞれの机を置いて仕事なさっていて、 「文京区議会都民ファーストの会」依田翼区議、「ぶんきょう子育てネット」たかはまなおき区議が在席。依田さんは説明を聞いてくださったが本部に確認中でまだ返答がないので賛同できるかわからないとのこと、たかはまさんは(スニーカーと名刺がほんとうに緑色だった)は、オンライン会議中とのことで説明は途中まで。

ここでお昼に。
シビックセンターのガラス張りの吹き抜けにも雪がはげしく落ちでいる。無機質で不思議な光景だ。
22階からの眺めも白さが増し、雪を蓄えた重たそうな雲が立ちこめていて憂き世離れした景色だ。自分たちはあの地面の上であくせくしているのだなぁなどと思う。議員さんも路面店のような位置にいて執務をしてくれていたらもっと近い存在に感じられるかもしれないのになどと妄想する。高層の区役所は災害時に停電した場合、対策本部をどこに設置するのだろう。

地上に降り近場のメトロMに駆け込み、地下のカレー屋さんで昼を済ませ、再び空の世界に戻る。

昼の時間はフロアにNHKの音声を流しているようで、ちょうど「自由民主党文京区議会」市村やすとし区議がエレベーターから降りてこられて声をおかけしたときに、バックで自民党の裏金問題が大音量で報じられていてなかなかシュールだった。部屋に通していただき、立ったまま説明させていただく。

「日本維新の会文京区議団」宮崎こうき区議もちょうどエレベーターから出てこられたところに遭遇でき、控室まで伺い、説明させていただいた。維新の会の馬場代表の声明文のこともお伝えしたが、今回紹介議員にはお名前をいただけなかったことが後でわかった。

翌日2月6日が請願提出の締切日だったが、わたしは両親の通院日のため、宮地さんがひとり再訪し前日に会えなかった「市民フォーラム」宮野ゆみこ区議と「文京永久の会」山本 一仁区議に説明してくれた。

結果、紹介議員に名前を書いてくださったのは、浅田やすお区議「AGORA」と小林れい子区議「日本共産党」だった。
議員34名(議長、副議長含む)のうち、11名の賛同をいただいたという理解でいいのかな。。ありがたい。
が、起きていることは虐殺だ。パレスチナの人びとは、たまたまそこに生まれたというだけのことで、塀に囲まれ、行動を制限され、食糧を奪われ、祈りの場も、学びの場も、病院も、インフラも、住居も破壊され、生まれたばかりの乳幼児でさえ殺されているのだ。たとえ自分たちの請願に賛同できなくても、区議会として、人として何か発してほしい。
はじめてのことで説明に精一杯だったが、どう思われているか、お訊きしてみてもよかったかもと数日経ってから思った。

提出した請願は、2月29日の総務区民委員会で審議されるとのことなので、傍聴しに行きます。

当日シビックセンター23階で受付すれば、先着25名までどなたでも傍聴できるそうです。
(請願の審議は午後からだそうです。これまで定員に達したことはないそうなので、朝一番に受付しなくても大丈夫だと思います。)
https://www.city.bunkyo.lg.jp/kugikai/boucho2.html

平日の午後ですが、お時間ある方はぜひご一緒してください!

「パレスチナ全域での即時停戦と早期に平和の実現を求める請願」を提出しました。

パレスチナ全域での即時停戦と早期に平和の実現を求める請願

画像をクリックするとPDFが開きます。

SNSを開くと、幼い子が恐怖に震えている。血を流している。硬直したわが子を抱きかかえて慟哭する若い親。いま自分が珈琲を飲んでいるこの瞬間にも封鎖されたなかを逃げ惑い、理不尽な攻撃に晒されている方たちがいる。
虐殺が起きている。

2月5日、シビックセンターへ請願書を提出しに行ってきました。
文京区「傍聴、請願・陳情」

「パレスチナ全域での即時停戦と早期に平和の実現を求める請願」

  1. イスラエル、ハマス双方に対し、拘束している人びと全員の即時解放を求め、はたらきかけること。
  2. イスラエル及びハマスを軍事支援している国に対し即時支援停止をはたらきかけること。
  3. 一刻も早い人道支援とパレスチナの平和実現にむけて、UNRWAへの資金拠出を継続するとともに、イスラエル政府の侵攻を終結させるため、あらゆる手段を講ずること。
  4. 国際司法裁判所(ICJ)における南アフリカの提訴に賛同すること。

上記の4項目を政府にはたらきかけることを文京区議会に求めました。

全文PDFはこちらから

イスラエル政府によるパレスチナ人虐殺に反対することは、反ユダヤ主義ではありません。
わざわざこんなことを書くのは、パレスチナに連帯したことで職場から追放されるという信じがたい捻じ曲げが「先進国」のなかでおきているからです。
ユダヤの人びとが迫害され大変な目に遭ってきたことに乗じて、パレスチナの地を独占しようと扇動し、その地に暮らす人びとの土地を、家を、自由を、命を奪い、民族の殲滅という狂暴な思想を掲げている人たちと、そうさせた、それを許してきた国々にNOを訴え、パレスチナの解放を求めるためです。
民族浄化思想に洗脳された若い兵士たちもまた、イスラエル政府とそれを黙認する日本を含む「先進国」という名の植民地主義の国々の醜いエゴの犠牲者ではないか、とわたしたちは考えます。

まだ陳情も請願も区別がつかなかった昨年12月、議員になる前から知り合いだった浅田やすお区議に相談したところ、内容的に総務区民委員会にかけられることになるが、次回は2月29日とのことで、そのタイミングでは陳情書(各議員に配布される)、年が明けてから本会議に向けて請願書の準備をしたらどうかとのアドバイスをいただいたため、この時期の提出となりました。
当日の日記はこちら

ほかにもパレスチナに関する請願が提出されていると聞き心強く思いました。
議会に提出されているすべての請願文書はこちらから

パレスチナ、イスラエル問題は国政の管轄でしょうが、地方自治体は一番身近なかかりつけ医みたいな存在と考えてみると、体調がおかしいときにまずかかりつけ医に駆け込み、症状によって大病院に継ないでいただくように、行政のなかで一番身近な自治体に、不安や疑問を訴えかけるのもひとつの方法だと思い至りました。

そして不安や危機感を訴える声が多ければ多いほど、無視できなくなってくると信じたいです。

・ガザへ一刻も早い人道支援
・即時停戦を
・虐殺を止めてください
・UNRWAへ拠出金継続を

など、求めたいことをぜひ届けてください。

【文京区議会宛意見フォーム】
https://www.city.bunkyo.lg.jp/kusejoho/profile/sosiki-busyo/kugikai/toiawase.html
返信を希望しなければ、個人情報の記入不要です。

【議員全34名一覧(メールアドレスあり)】
https://www.city.bunkyo.lg.jp/var/rev0/0293/7431/2023122811720.pdf

2024年2月29日(木) 総務区民委員会
当日、シビックセンター23階で受付すれば、先着25名までどなたでも傍聴できるそうです。
(請願の審議は午後からだそうです。これまで定員に達したことはないそうなので、朝一番に受付しなくても大丈夫だと思います。)
https://www.city.bunkyo.lg.jp/kugikai/boucho2.html

平日の午後ですが、お時間ある方はぜひご一緒してください!

黒豆ぜんざいで年明けです。

今年もよろしくお願い申し上げます。
たいへんな年明けとなり、ますます岸田政権への怒りは増幅するばかりです。
被災なさった方がたの状況が一刻も早く改善し安堵がえられますように。

能登、ガザ、岸田政権(自民党、その周り)、両親のこと、店のこと、ごくごく至近からささまざまな距離感、規模の問題に囲まれ、それでもごはんも食べなければいけないし、頭の中は毎日混乱を極めています。

昨日から国際司法裁判所(ICJ)において南アフリカがイスラエルに対するジェノサイド条約違反を提訴した裁判がはじまった。今日は、文京区議会に提出する予定のガザ救済のための請願書の下書きを。

昨年末に実家近くのスーパーで求めた丹波の黒豆がとてもやわらかく炊けたので、ぜんざいにしてみました。
お餅は、根津の谷さんの「徳用白もち」(鶴岡・庄内協同ファーム)、オーブンで焼くと見たこともないくらいにぷっくり膨らんで、少し焦げた角っこはサクサクお煎餅の香ばしさでぜんざいによくあいます。

お豆を煮るときはたいてい柔らかくなってから味付け、と指南してくれるレシピが多い気がするのですが、黒豆は初めに砂糖を加えてから長時間煮るレシピが多い。なぜかなぁと思いながら、豆が柔らかくなってから砂糖を加えたら、とても柔らかく炊けました。(充分浸水できれば重曹はなくてもいいような気がしてます。)
備忘録に今回の手順を。鍋はギリギリサイズよりも少し大きめの方が安心です。実際はこの倍量600gだったため、大きな鍋はテフロン加工の鍋に鉄玉子を入れて炊きました。

黒豆 300g
砂糖 300g(今回はグラニュー糖250g/ きび糖50g)
重曹 小さじ1/2(豆を柔らかくふっくらさせる)
醤油 小さじ1/2
鉄鍋か鉄玉子(今回はテフロン加工の鍋+鉄玉子)

1、黒豆は皮を傷つけないようやさしく洗い、ボウルに3倍くらいの水を用意し浸水させる。
 浮いてきた豆は虫食いなどあるので除く。

2、冷蔵庫に入れておよそ丸一日(24時間くらい)を目安に、ときどき様子をみながら、膨らんだ豆が水面から出るようなら水を足す。
 丸っこかった乾豆が、煮豆のような楕円になり、皮ののシワがじゅうぶんのびたら浸水完了。

3、鍋に鉄玉子を入れた鍋に2をつけ汁ごと移し、重曹を加えて火にかける。
 豆を入れてから鉄玉子を入れると、豆の表面に傷がつきやすい。
 沸くまでは、豆が踊らない程度弱めの中火くらいだったかな。
 
4、沸いてくるとびっくりするくらい泡立つが、アクではなく重曹成分の泡なので掬わずに火を弱めてそのまま煮続ける。豆が煮汁の表面から顔を出さないように気をつける(少なくなったら湯を足す)。水面から出るとシワが寄ってしまうので。

5、そのうちに重曹の泡は落ち着くので、キッチンペーパーを落し蓋(中央に2〜3センチの穴をあける)にして、豆が柔らかくなるまで3時間くらい火を通す。この間アクが出るようなら掬い、豆が煮汁に隠れる水分量を保つ。

7、指で潰せるくらいに柔らかくなったら、砂糖を3回くらいに分けて加える。

8、長時間煮続けるよりも、一旦炊いて冷まして、また火を入れて冷まして、を何度か繰り返す方が甘みが豆に浸透しやすいそうです。

9、豆がふっくらして好みの感じになったら醤油をまわし入れ、味をしめる。

炊き上がった黒豆は煮汁から出てしまうとシワが寄りやすいので、煮汁に浸かっている状態で保存する。
冷蔵庫では一週間くらい。(数日おきに火を通すと安心)
冷凍する場合も、液ごと食べる分ずつに分けてビニール袋に入れ、空気を抜いて冷凍すると、炊き直してもシワになりにくく柔らかく戻る。
温める際に鍋に少量の水を加えておき、そこに凍ったまま入れて火にかけると焦げにくいです。
ぜんざいは、一人分60ccくらいのお水を加えて甘みを調整してます。

吉上恭太さんの『ぼくは「ぼく」でしか生きられない』が刊行されました。

古書ほうろうで千駄木の頃から「吉上恭太のサウダージな夜」と題してずっとギターの弾き語りライブをしてくださっている吉上恭太さんが自らの来し方を綴られた『ぼくは「ぼく」でしか生きられない』が、かもがわ出版さんより刊行されました。

絵本の翻訳もなさっている恭太さん、そのことも本に書かれていますので、恭太さんにお願いしてそれらの絵本をお借りして店頭に並べてご覧いただけるようにしました。(お借りした絵本は販売はしていませんので、ご近所の方は往来堂さんへご注文ください)

12月5日には刊行記念に、吉上恭太さんと装画を描かれた漫画家の山川直人さんのトークショーも開催しました。

恭太さんは目指さない人生、山川さんは「漫画を描く」という大好きなことを続けるための方法として漫画家になることを選んだ人生。まったく違うタイプの生きかたをしてきたおふたりが、ほうろうでトークショーをしてくださったのでした。おふたりはとても仲良しでもあり、人の縁っておもしろいなぁ、巡り巡って出会うべくして出会ったおふたりなのだろうなと思いました。
山川直人さんバージョンの『ぼくは「ぼく」でしか生きられない』も読んでみたくなりました。

店頭では、12月8日(金)から29日(金)まで、山川直人さんの装画原画展もはじまりました。カバーのイラストのほか、挿画もすべて展示しています。細かな描き込みの原画からは、恭太さんの本に書かれている時代の空気も感じられます。ぜひぜひご覧にいらしてください。恭太さんの翻訳した絵本も原画に描き込まれています。目を凝らして探してみてください。
https://horo.bz/event/yamakawa-kyota_20231205/

 

陳列させていただいた吉上恭太さんの翻訳絵本のタイトルはこちらです。

『ゆきのひ』『あめのひ』『かぜのひ』
サム・アッシャー作・絵
徳間書店

イギリスの人気絵本作家によるシリーズ。
ちょっと憂鬱な空模様の日。おじいちゃんとぼくがおでかけすると、思いもかけないファンタジックな世界が広がります。

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『せかいいち しあわせな ぬいぐるみ』
サム・マクラブラットニィ文 サム・アッシャー絵
徳間書店

いまから50年ほどまえのこと、ある女の子がおこづかいをためて買ったクマのぬいぐるみ「ウーウー」。月日が経ち、持ち主が何人も変わり、ある日奇跡がおこります。

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『おねえさんになるひ』
ローレンス・アンホルト文 キャサリン・アンホルト絵
徳間書店

ずっとずっと赤ちゃんがくるのをたのしみにしていたソフィー。でも赤ちゃんが生まれてきたら、お父さんもお母さんも赤ちゃんにつきっきり。寂しいソフィーは家をとびだしてしまいます。

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『ようこそ!ここはみんなのがっこうだよ』
アレクザーンドラ・ペンフォールド作 スーザン・カウフマン絵
すずき出版

さまざまなバックグラウンドを持つ子どもたちが、お互いを認めあって学校生活を送ってる、スーザンの娘さんが通う小学校がきっかけとなって生まれた絵本です。イラストがかわいい!

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『ちゃんと たべなさい』『だめだめ、デイジー』
ケス・グレイ文 ニッケ・シャラット絵
小峰書店

おかあさんとデイジーちゃんのやりとりがほほえましい2冊です。
『ちゃんと たべなさい』は、2015年に箕面・世界子どもの本アカデミー賞絵本賞を受賞。「子どもたちから支持されている本を、子どもたち自身で選ぶ」という趣旨の賞に選ばれたことに、恭太さんのよろこびが『ぼくは「ぼく」でしか生きられない』にも書かれています。

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『ひとりぼっちのかいぶつといしのうさぎ』
『かしこいさかなはかんがえた』『くまくんと6ぴきのしろいねずみ』
クリス・ウォーメル作・絵
徳間書店

ダイナミックでありながらとても優しい筆致の絵が印象的です。
なかでも個人的には『ひとりぼっちのかいぶつといしのうさぎ』がすごく好き。
なんとも言えない複雑な余韻が残る絵本で、子どものころに読んだら心の置きどころがわからなくてちょっとトラウマのようになっていたかもとも思ってしまう。
恭太さんがご自身の本のなかで、原書を読まれたときの印象を哲学的な内容と表現されているくらいだから、わたしも大人だからといって簡単に理解できるわけではないけれど、恭太さんのおかげで出会えたすばらしい絵本。

仲間入りした喫茶の椅子さんです。

移転が決まってからばたばたと窓辺喫茶をオープンしてしまったので、什器はそのうちにいい出会いがあったときに少しずつ揃えていければいいか、となりゆきにまかせて、手持ちの小さなテーブル、スツールやピアノの椅子を配置したため、高さが微妙だったり、木のスツールはおしりが痛くなったり、お客さまを見ていて気になるところがいくつか出てきていました。
ふたつのテーブルのうちひとつは、自宅から持ち込んだもの。そしてもうひとつは千駄木から持ってきたもので、もともとは夕やけだんだん上にあった〈檸檬屋〉さんから引き継いだもの。こちらは手彫りの模様がほどこされた味わい深い手作りなのですが、いかんせん三本脚のため微妙に安定が悪く、本を飾るにはよかったのですが、喫茶にはちょっと心もとない造りのため、何度か手放してしまおうかなぁと思いました。しかし不思議なことにそのたびに「このテーブルがすごく好きなんです。」と、中にはうつ伏せて天板を抱くようにして打ち明けてくださる方が現れるのでした。
というわけで思い直し、脚はそのうちに考えることにして、その相方にしていたピアノ用の椅子、こちらはこちらで一番下の高さにしても座面が少し高すぎる問題があったので、そのピアノの椅子を二人席にまわして、二人席に置いていた硬くて背もたれのないスツールをまずは下げることにしました。

インターネットの定期巡回先で一番期待していたのは、西荻窪の〈村田商會〉さんでした。店じまいした純喫茶の什器や食器、備品などを販売しているお店ですが、販売するときに引き取り先のお店を記事にして残し、品物を次の方に橋渡ししていらっしゃって、椅子ひとつとっても来歴がわかるのはうれしいですし、自分たちも古物商なので、縁があれば村田商會さんで買いたいなぁと思うようになったのです。
あぁこの椅子よかったのにぃ〜!とタイミングを逃すこと数回。しかしよくよく採寸するとうちの小さなスペースに収まらない、を繰り返してきたこの5月、Twitterのタイムラインに流れてきた村田商會さんの写真に、おっ!おおおっ!と気になる風貌、サイズ感の椅子を見つけました。
たまたま休みの日でもあり、西荻窪に飛んでいきました。果たしてお店の外に陳列されていたそのコは、まだ売れておらず、サイズ感もピッタリ。手の出せるお値段。人の手を感じる模様は、趣こそ異にしますが独特な存在感があります。お店の方に声をかけて、ぐらつきはないか確かめ、座らせてもらい、採寸し写真を撮り、並んでいるほかのテーブルとの高さを確認してみたり。腰掛けて道往く人をしばらく眺めながら、これは出会いと思っていいんじゃないでしょうか、と自問自答を繰り返してみたり。ブツとして大きな買い物なのでなかなか即決できずに、店内に移動し珈琲を注文してひと息ついてみたり、宮地さんにメッセージ送ったり。もう一度自分の店に戻って檸檬屋さんのテーブルとの高さを確認してみて大丈夫なら注文することに決めて、その日は村田商會さんを後にしました。

翌日、正式に注文のメッセージをお送りし、やりとりのなかで村田商會がこの椅子の来歴を教えてくださいました。

村田商會さんが販売当時に書かれた記事
https://muratashokai.theshop.jp/blog/2020/07/16/235424

すると思いがけずお近くの水道橋で、2020年まで営業なさっていた喫茶店〈晴山〉(せいざん)というお店で使われていた椅子だとわかりました。なんと43年も営業してこられたお店だそうです。この椅子はいったい何人の方たちのひとときを支えてきたのかしらと、その歳月、座って過ごされた人びとに思いを馳せずにはいられません。
近所にお勤めの方、競馬新聞片手の方もいらしたでしょうか。商談がまとまった営業の方。うまくいかず珈琲を啜られた方。炎天下を通りかかって冷たい飲み物に命拾いした方。マスターやママさんとひと言ふた言かわすのが日々のリズムになっていた方。
本郷台地を越えてやってきてくれてありがとう。
椅子さんにしてみたら、あれぇずいぶんちっさいところに来ちゃったなぁ〜と戸惑っているかもしれませんが、どうかひとつよろしくお願いします。

窓辺喫茶は、古書ほうろうのなかにある、お一人席、お二人席の二卓のみの三人で満席の小さな喫茶コーナーです。
木、金、土、日、12〜20時(ラストオーダー19時半)オープンです。(月火水休み)

詩の朗読会「3K15」を開催しました。

コロナでいろいろなことが久しぶりになっているなか、昨日は久しぶりの詩の朗読会「3K15」を開催。

3Kは、カワグチタケシさん、究極Q太郎さん、小森岳史さんの3人のイニシャルKからで、第1回目はほうろうと出会う前の2000年、当時はまだ珍しかった古本とカフェの業態の先駆けだった西荻窪の「ハートランド」で開かれ、その翌年、3回目の「3K3」で、はじめて千駄木の古書ほうろうに来てくださいました。
それ以来、会場をかえながら回数を重ね、ほうろうでは毎回芸工展の開かれる10月に、2003年「3K6」、2005年「3K10」、少し空いて2018年「3K12」、4回の3Kが開かれました。
https://note.com/3k15

そして海の日で月曜祝日の昨日、池之端に移転してからは初めて、ほうろうでは通算5回目となる「3K15」が開かれ、18人のお客さまが集ってくださいました。酷暑のなかお越しくださりほんとうにありがとうございました。

前半は、カワグチタケシさんの「糸杉と星の見える道 ~Billie Holiday」でスタートしました。
「過去の歌姫たちの亡霊」7篇、歌姫の生まれた順に。
カワグチタケシさんのブログ→

1.糸杉と星の見える道 ~Billie Holidayに
2.春 ~Judy Garlandに
3.キューピッドとプシュケ ~Aretha Franklinに
4.草上の昼食 ~Janis Joplinに
5.眠るジプシー女 ~Linda Ronstadtに
6.アテナイの学堂 ~Whitney Houstonに
7.夜警 ~Billie Eilishに

2番手は究極Q太郎さん。Bluetoothスピーカーで音楽を流しながら「春と修羅」ではじまりました。
1. 春と修羅(宮沢賢治)
2. Galapagos(ガラパゴス)
3. At least They Insist So
(少なくとも彼らはそう主張している)
4. A Cockroach
5. astrangersinthenight
6. 拍

前半最後は小森岳史さん。外の蝉の声を聴きながら、夏の詩「グリーン」ではじまりました。
1.グリーン
2.We lived in clover pt.2
3.ステイン
4.チェンジズゴナカム
5.アムステルダム

休憩をはさんで、後半は逆の順番で小森さん。「そば」にでてくる谷中墓地前の蕎麦屋は、川むらだそうです。
1.そば(佐藤わこ)
2.(女性も含めて) デッドマンズ・アイランド (グレアム・ハーウッド 植田悠訳)
3.真空パック

2番手、Qさん。ストーンとストーンしボーンと骨になれ。
1. ストーンとstoneしbone と骨になれ
2. にしこく挽歌
3. There is no hell except on earth(チャールズ・ブコウスキー)
4. Cambridge Sky(グレゴリー・コーソ)

最後はカワグチさん。今年生誕100年の田村隆一の詩から。
1.四千の日と夜(田村隆一)
2.捨てられている(小森岳史)
3.待たれた朝(究極Q太郎)

耳に馴染む懐かしい詩にさまざまな風景が蘇ったり、三者がそれぞれに醸し出すビートと一体化したり。
外は37℃に灼かれる昼下がり、東大のジャングルで鳴く蝉の声をBGMに朗読が続きました。

少しずつイベントを再開とはいえ感染数は増加傾向のため、店内ではお客様にマスク着用のご協力と、飲食のご提供はなしとを、お願いしての開催となりました。
窮屈なお願いに関わらず、ご来場のみなさま、カワグチさん、Qさん、小森さん、ご協力ありがとうございました。

おまけ
カワグチさんと、「同行二人」というユニットの相方の村田活彦さんが、3K10のツアーTシャツ姿で並んでいらしたのでパチリ。

今日、ついにやまさきさんが谷根千からお引越し。

あっという間に5月も第4週、今日、ついにやまさきさんが谷根千からお引越し。
このところ少しずつ読みすすめている森まゆみさんの『海恋紀行』を開いたら、今日のところがちょうどやまさきさんの新天地なのでした。
いまごろプシュッとおつかれちゃんしているかしら。

お引越しの計画をはじめて聞いたときには、ありえないような物件との出会いからして、なんともやまさきさんらしく、あっぱれな軽やかさだなぁ!と、こちらまで潔い気持ちになってしまったけれど、最近になってしんしんと雪が降り積もるように寂しさが心を占めはじめていて、昨晩店に寄ってくださって、いよいよ明朝出発、とうかがって、びえーんとなりそうに。
でも、やまさきさんはあくまでニコニコ。涙は似合わない。夏にはまた会える話をして「さようなら、またね!」、やまさきさんの自転車が角を曲がるまで、宮地さんとお見送り。

千駄木で店をはじめた1995年夏、谷根千工房のみなさんとは、開店間もなくからお付き合いがはじまった。
森まゆみさん、仰木ひろみさん、山﨑範子さん、地域雑誌『谷中根津千駄木』を発行しつつ、それぞれに興味の対象や、活動内容が違っていて、私たちにとってやまさきさんは親しく、町や人と繋げてくれる潤滑油のような存在だった。稲垣書店の中山さんと繋いでくださったのもやまさきさんだ。やまさきさんが居る安心感。そういう人は多かったんじゃないかな。
最近になって森さんに、それぞれの活動はそっとしておく、自分は身を引いてきたと言われた。その大事さは、できるできないは別としてわたしたちも骨身にしみている。
だからやまさきさんが身近にいてくれたんだ、と理解したと同時に、やまさきさん天性の人柄あってこその、この地域にもたらしてくれたもの、わたしたちはまだまだずっと背中を追いかけていることのほうが多いけれど、やまさきさんから受け取った、容易に言葉にはできない宝物を、わたしたちも順繰りに地域にリリースしていきたいなぁと思います。

やまさきさんのお引越し先ではまたいろいろなことが動いていくことでしょう。それもたのしみ。
やまさきさんロスをたのしいエネルギーに変換しなくちゃね。