ル・コルビュジエの家

この夏、間もなく劇場公開されるアルゼンチン映画『ル・コルビュジエの家』の試写会に行ってきました。

 

タイトルのとおり、ル・コルビュジエが設計した住宅がこの映画の舞台です。
クルチェット邸とよばれるその住宅は、アメリカ大陸では唯一のコルビュジエ設計による私邸だそうで、歯科医クルチェット氏のクリニック兼住宅として1949年建てられました。

現在は資料館として実在するこの住宅を舞台に、大胆なブラックコメディーが繰り広げられます。

クルチェット邸に住むのは、椅子のデザイナーとして大成功をおさめている、けれど、恐妻家のレオナルド、ピリピリの種をまき散らすヒステリックな妻、反抗期真っ只中の娘の一家。
そして問題の隣人は、三白眼の強烈なキャラクタービクトル。
レオナルド家族とビクトルの攻防、そして家庭内に響く不協和音をシニカルかつスリリングに描いています。
それぞれに個性際立った登場人物たちですが、現実の生活だって常に狂気をはらんでいますからねぇ、観ているうちに人ごとじゃなくなってくるのです。

 

コルビュジエの「建築的プロムナード」を実現したクルチェット邸は、歩道に面した門から住居スペースの間に内と外を曖昧に繋ぐ吹き抜けの玄関ホールがあり、門から伸びるなだらかな回廊は、それだけで劇場のようです。
こんなステキな住宅をスクリーンで見られるだけでもかなりの多幸感が得られるところにもってきて、身につまされれればつまされるほどもう笑っちゃうしかないストーリー展開に、観た直後はどこから消化したらよいのやら、いっぱいいっぱいの頭と心を抱えて、試写会場のあった六本木の裏通りからふらふらと、東京タワーを眺めながら夜の街を徘徊してしまいました。

 

少しずつ少しずつ消化して、秋にさしかかり、時間が経つほどに登場人物が愛おしさがつのり、実に印象的な作品だったなぁ、と思うのです。

クルチェット邸を世に知らしめるための映画としても(実際に監督、脚本家にはその思いも強かった)、そこに悩ましき人間を住まわせたり、現代作家のアート作品をセンスよくちりばめたりすることにより、作り手が存分に遊びきった感が画面の隅々からも伝わってきます。
観る者によってさまざまな楽しみかたが出来る作品だと思います。

物件マニア、間取リストのみなさまも、そうでないみなさまもどうぞお出掛けください!

 

東京では、9月15日より新宿K’s cinema、10月6日よりシネマート六本木での公開が決まったそうです。

また、横浜の長者町にある大成建設ギャルリー・タイセイにて開催されている『世界遺産の住宅建築とル・コルビュジエ』と題した展覧会では、クルチェット邸の模型が展示されているそうです!映画を観ていると、え、この家どういう間取り?ここはどこと繋がってんの?あぁ、このスロープ、私も歩きたいようというような、疑問、欲求がムラムラ湧いてきてしまいますので、立体模型はいいですね。あ、もちろんミニチュアなので歩けるわけじゃないですが、ありがたいです。

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(ミカコ)