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「マンハント」24冊入荷!

1958年から1963年にかけて刊行された「マンハント」のバックナンバーを24冊出しました。

“世界最高のハードボイルド専門誌”と銘打ち、「エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン」「ヒッチコックマガジン」とともに翻訳ミステリのブームを担い、後に大きな影響を与えた雑誌です。数年前に入荷したときは刊行年が偏っており、噂に聞くその魅力がいまひとつわからなかったのですが、今回は創刊号から廃刊の半年前まで、飛び飛びではありますが万遍なく揃い、ようやく誌面の変遷と本領を実感することができました。

以下、1年につき1冊ずつ選んで紹介しますので、興味を持たれた方はぜひご来店のうえ手に取ってみてください。値段は100円〜1050円。店頭販売のみです。
 
 

1958年8月号

創刊号は1958年8月1日刊行。編集長は中田雅久。片岡義男に「あなたは原稿を渡すがわの人になりなさい」と言った人です。後にこの雑誌の売り物となる読みものの類はまだほとんどなく、表紙や挿絵も垢抜けない感じ。

  

1959年9月号

創刊から約1年。挿画におおば比呂司が加わり、雰囲気が変わりつつあります。ピンナップが付き、読みものも増えましたが(清水俊二や永六輔など)、まだ連載はありません。

   

1960年4月号

この頃から俄然魅力的な雑誌に。中綴じ中心部の読みもの欄では植草甚一の連載「夜はおシャレ者」が始まり、イラストには真鍋博が加わり、江淵晃夫のコラージュは冴え渡り、ヌード・ピンナップも取り去られてます(笑)

  

  

1961年4月号

この年はなぜか真鍋博が外れ、江淵晃夫もコラージュを止め、デザイン的には一歩後退といった感。ただ新たに加わった小林嘉孝のイラストはとても魅力的。連載陣も小鷹信光、福田一郎、湯川れい子、山下諭一と大変豪華です。あと、この頃から、翻訳者の名前が作品ごとにクレジットされるようになりました。

   

1962年5月号

この年から、いよいよ片岡義男が執筆陣に! この号には〈義〉名義の連載「もだん・めりけん珍本市」が載ってます。復帰した真鍋博と田中小実昌とのコラボレーション「G線上のアリャ」や、諏訪優の「ヴィレッジはヒップスターでいっぱい」にもご注目を。

1963年7月号

表紙もいつの間にか洗練され、田中小実昌、児玉数夫、紀田順一郎など連載も充実と、まさに円熟期。なのにこの号を限りに「ハードボイルド・ミステリィ・マガジン」へと誌名変更、廃刊まで残すところ半年余りです。片岡義男は「世界ホット・スポットめぐり」「もだん・めりけん珍本市」に加え「現代有用語辞典」も全5本執筆と、三面六臂の大活躍。

  

  

拾遺 岩田宏

流れの中ではうまく紹介できなかったのですが、岩田宏も1960年から目次に名前が現れます。都筑道夫、真鍋博と組んでの「だれんだあ・かれんだあ」、ご隠居と八っつぁんの会話でクラシックの歴史をたどる「クラシックをモダンに聴こう」、どちらもうれしい発見でした。翻訳もクレイグ・ライスを中心に多数(小笠原豊樹ではなく、岩田宏名義)。