長谷川元吉の「ゴダールマニフェスト」
「記憶の蔵 映画ポスター市」開幕を今週末に控え、いよいよ準備も大詰め。今回販売するポスターは、70年代後半から00年代にかけての外国のオリジナル版が中心で、アングラな感じなものはほとんどないのですが、そんななか異彩を放っているのがこちら。1970年、フランス映画社と創造社が「ゴダールマニフェスト」として共同配給した、ジガ・ヴェルトフ集団『イタリアにおける闘争』のポスターです。
味わい深い手描き文字に、絶妙な色づかい。いったい誰のデザインだろう? と興味津々ですが、署名らしきものはありません。でも、この図案、どこかで見たような気もするんですよね。と思って映画の棚を探したら、やっぱりそう。以前、当時のパンフレットを買い取っていたのでした。
そして目次を見ると…。「装幀:長谷川元吉」という印字が。おお、そうなのですか!
長谷川元吉と言えば、吉田喜重監督作品のカメラマン。奥付には「1970年11月15日」とあるので、ちょうど『煉獄エロイカ』を撮っていた年。多忙な毎日のなか、こんな仕事もされていたのですねえ。まあ、父親の長谷川四郎もしゃれた絵を描く人でしたし、なにより長谷川潾二郎の甥にあたるわけですから、なんの不思議もないのかもしれませんが、いや驚きました。
あと、やはり今回販売するパンフレットや紙モノのなかに、撮影中の長谷川元吉のスナップがあったのでご紹介しましょう。左は『アートシアター』80号「煉獄エロイカ」より、右は『映像研究』1号「吉田喜重特集」より。『映像研究』は早稲田大学現代映像研究会の発行、裏表紙には1970年5月に開催した上映会&講演会の告知も載ってます。
最後にもうひとつ、知人のブログで知った長谷川元吉のエピソードをご一読ください。嵐山光三郎の文章からの引用ですが、その人となりが伝わってきて爆笑しました。