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ほうろう青空バザール 出品情報 その2 山松ゆうきち

山松ゆうきち 18冊!


去年のゴールデンウィークにまとめて買い取った山松ゆうきちの単行本。とりあえず開いた『プロフェッショナル列伝』の最初の短篇「バレておかいちょ!!」を読んでみたら、これが抜群の面白さ。バレ噺に命を賭けた戦前の上方落語家の一代記なんですけど、なんとも言えない味わいがあって。「これは全部読まないと出せないなあ」と仕舞いこんでしまったのですが、あっという間に1年が経ち、そろそろ売らなきゃというわけで、この夏ようやく読み終えました。いや、この人のマンガ、書影の印象からは意外でしょうけど読むのに時間がかかるのです。取り上げられる題材は、競輪や麻雀といった自分に興味のないものも多いのですが、読み出すと惹き込まれるんですよね。広沢瓢右衛門を主人公に浪花節全盛期の人物群像を描いた『自炊男爵瓢々記』など素晴らしかったです。

いざこうやって並べると、どうにも暑苦しいですが(笑)、面白いことにかけては太鼓判を捺します。こんなに入荷することは滅多にないので、探していた方はもちろん、知らなかったという方もこの機会にぜひお試しください。

『プロフェッショナル列伝』(昭和52年12月25日 第6刷/双葉社/原案:田中義幸)
『自炊男爵瓢々記』(1980年2月5日 初版/双葉社)
『2年D組上杉治』(昭和55年5月10日 初版/けいせい出版)
『おもしろ激場 1(いいかげん馬鹿)』(奥付なし/オハヨー出版/作:沼礼一)
『おもしろ激場 2(まるだし馬鹿)』(奥付なし/オハヨー出版)
『めたくた馬鹿(馬鹿シリーズ 3)』(奥付なし/オハヨー出版/作:舎人栄一)
『エラヅヨの殺し屋』(昭和58年1月15日 第2版/竹書房)
『怪力エンヤコーラ』(1983年4月25日 初版/青林堂)
『エラヅヨの殺し屋 2』(昭和58年5月20日 初版/竹書房)
『西子 或る女雀師の一生』(昭和58年12月20日 初版/竹書房)
『ニッポン玄人考』(昭和60年3月18日 初版/講談社)
『花咲ヶ丘24時』(昭和61年9月23日 初版/双葉社/原作:やまさき十三 ほか)
『万の病をもつ男』(昭和61年10月18日 初版/講談社)
『原色ギャンブル図鑑』(1990年3月10日 初版/スタジオ・シップ)
『にっぽん自転車王』(平成2年5月25日 初版/日本文芸社)
『人間必勝法』(1992年3月25日 初版/ヒット出版)
『中年死刑囚』(2002年8月2日 初版/青林堂)
『山松 Very Best of Early Years』(2003年2月5日 初版/青林工藝舎)
 

8月25日追記
 
もう1冊、ごく初期の作品を発掘しました。
「残党グループ」の一員として発表したオムニバス『犯罪教室』(ヒロ書房/1970年4月)。
「カゼをひいた娘」が収録されてます。
絵柄も話も紛うことなき山松ゆうきちですが、描線の歪みに若さと気迫が溢れているような。
 
残党グループ『犯罪教室』 表紙 残党グループ『犯罪教室』 目次 山松ゆうきち「カゼをひいた娘」 扉(残党グループ『犯罪教室』所収)
山松ゆうきち「カゼをひいた娘」より(残党グループ『犯罪教室』所収)

ほうろう青空バザール 出品情報 その1 尾仲浩二

月末、8月30日(土)、31日(日)は、店先で「ほうろう青空バザール」を開催します。決算ということもあって、日常の流れの中でなかなか店頭に並べられずにいた本をこの機会に初出しする所存。その中からピックアップしてこちらでご紹介してまいります。⇒青空バザール出品情報
先ずは、こちらから。
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尾仲浩二 matatabi写真文庫セット 1〜3号 + カレンダー「GLASSHOPPY」 3,000円

  • matatabi写真文庫 1 こどじ——新宿ゴールデン街—— 2005年1月6日発行
  • matatabi写真文庫 2 フランスの犬 2005年12月1日発行
  • matatabi写真文庫 3 1989・夏 大阪まで 2006年5月30日発行(この号のみ献呈署名)

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  • matatabi写真文庫—別冊 2007年カレンダー(署名)
  • おまけ 各写真展DMと「馬とサボテン」案内状

 

そして、こんなのもあります。お見逃しなく〜。
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尾仲浩二『GRASSHOPPER』ピンバッジ おまけ付 500円

 

尾仲浩二の写真集も、もちろん並びます!
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* 価格はすべて本体価格です。バザール当日は、消費税サービス!

大竹伸朗まつり

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ウインドウを大竹伸朗に替えました。
一度にこんなにたくさん入荷したのは初めてです。
昨年ソリレス書店より発売された、大竹伸朗展『追憶』カタログ特別版も当店にてお取り扱いしてますので、仲間に加えてみました。たまたま貼ってあったポスター「ジャック・ドゥミ 映画/音楽の魅惑」(8/22〜 フィルムセンター)もまるで待ち構えていたよう。ド派手な展開に。笑
ソリレスさんといえば、この夏のウインドウは、鈴木理策写真集『White』の眩しい雪の白で飾ろうと思ってたのでした。暑すぎて忘れてました…。

大竹伸朗まつり、と浮かれてますが、実は自分たちもまだゆっくり眺めていないので、時間をみつけて一冊ずつこちらでご紹介していこうと思います。
品出し情報は、こちらをご覧ください。⇒

ローカル ROADSIDE JAPAN珍日本紀行 リミックス版

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「美しくない」日本に感動
なぜ、今、このドロドロに崩れきった「日本」が、モノをつくるしょうどうにつながる一つの回路に内側でこうもかたくなに結びついているのか。(大竹伸朗序文より)

国破れてケダモノあり
明日おも知れぬこの世の中で、ほんとに残しておかないとマズいものなんて、あるのだろうか。日本という国もずいぶん醜くなってしまったけれど、それはそれで味がある。(都築響一あとがきより)

淡島神社(長崎)、淡島神社(和歌山)、イカ明神(島根)、伊豆極楽園(静岡)、一式飾り展示館(島根)、ウミネコ神社(青森)、ウルトラマンランド(熊本)、カエル橋(和歌山)、カッパ駅(福岡)、ガマ公園(茨城)、蒲郡ファンタジー館(愛知)、かもめ橋(徳島)、元祖国際秘宝館(三重)、北の京芦別(北海道)、ギリシャ風露天風呂(東京)、ゴジラの卵(福島)、佐渡国小木民俗博物館(新潟)、幸福の黄色いハンカチ・想い出広場(北海道)、昭和大仏(青森)、食堂アメリカヤ(山梨)、スギノイパレス(大分)、大観音寺(三重)、高燈籠(大阪)、乳神様(岡山)、つくばわんわん動物園(茨城)、津山自然科学館(岡山)、土井ヶ浜弥生パーク(山口)、東映映画村(京都)、陶器の公衆便所(栃木)、東北サファリパーク(福島)、東洋剥製博物館(大阪)、鳥羽国際秘宝館・SF未来館(三重)、苫前羆事件(北海道)、新潟ロシア館(新潟)、日本最大の喫茶(徳島)、博物館網走監獄(北海道)、蜂天国(長野)、花とシネマのドリームランド(北海道)、ハニベ岩窟院(石川)、HIHOKAN夢(新潟)、富士ガリバー王国(山梨)、富士見彫刻ライン(静岡)、フルーツ・バス停(長崎)、細倉マインパーク(宮城)、北海道秘宝館(北海道)、穂別地球体感館(北海道)、サンメッセ日南(宮崎)、ユートピア加賀の郷(石川)、リカちゃんキャッスル(福島)、リス村(東京)、ルーブル彫刻美術館(三重)

デザイン:北川一成

図録 Shinro Ohtake Recent Works 1988-1990

スライドショーには JavaScript が必要です。

 

一昨日からこの目録を開くたび、圧倒され、閉じる。という行為を繰り返してしまいました。大竹伸朗の作品はもちろんなのですが、作品の力を目一杯引き出そうとしている、この目録の造りがすばらしいです。発行元は、Galerie Tokoroです。かなりツルツルした紙も使われていて意外な感じもするのですが、その意外さが新鮮で、作品が目に飛び込んでくる手助けをしてるような気がします。ツルツルも何種類かあって、全部で何種類の紙を使ってんだろうと。折り返しの表紙の裏も、著作目録や奥付の頁も、隅から隅まで大竹伸朗の作品がとても上手く使われていて、美しい。

1988〜90年の作品なので、アメリカで描かれた作品も載っており、あ、と思ってアートランダムシリーズと比べてしまいましたが、奥ゆきというか、立ち上がる感じが全然違います!(スライドショーは、私が撮った写真なので、そのすばらしさがなかなかお伝えできないのがもどかしいですが。)

 

亜米利加 II 一九八九

スライドショーには JavaScript が必要です。


1989年1月1日から1月31日までアメリカ数都市に滞在しつつ拾った印刷物、写真、植物などを一冊のノートに貼り込み、その後3月14日までニューヨーク州アスタリッツのスタジオで絵画制作と同時に、そのノートブックの上に、アメリカでのイメージを重ね、その後日本に戻り、一冊の本にする機会が訪れたのがこちらの『亜米利加 II 一九八九』。表紙の周囲は直線ではないイレギュラーな断裁、本文にも各所に貼り込みがなされるという凝った造本。京都書院から先に「America」と題された画集が出ていたため、IIとしたそうです。

 

ArT RANDOMシリーズ America

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ニューヨーク、ハドソン川岸のアウステルリッツにおいて、1988年2月から3月にかけての6週間で制作された作品。

 

Shinro Ohtake SHIPYARD WORKS 1990

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1988年に宇和島に活動の拠点を移した大竹伸朗の、造船所における1990年6月から8月にかけて作業のアイディアやスケッチを記したノートの複製。

いろいろな國ヘ行くたびに興味をもったかたちを写真に撮っていた。それがバリ島の給水塔であったり、ケニアのレコードショップのシングル盤を入れる棚だったり、(略)それらに共通するものは、いわゆる美の領域とはまったくかけ離れた場所にあること、そして、それらと出会う時の衝動は、道の上で偶然見つける印刷物との邂逅に近いこと、そして、そのほとんどが立体物ということである。ある日造船所で偶然見つけた木型も、そのようにして頭のなかに刻み込まれたのだった。(ファイバーグラスの霊歌より)

 

図録 大竹伸朗 新作展 CANVASISM 夢と細胞

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今回、八割位の作品を四国の宇和島で制作した。現地の徳久造船所の方々には今回の立体作品などの元となった美しい木船を二はい提供していただいた。(あとがきより)

大竹は、素材を自分にひきつけるのではなく、素材自体の特性を優しくひき出し、相互に浸透させることによって、まるで生物のように物質が息づくにまかせるのである。(東野芳明 序文「大竹伸朗——廃船と絵画——」より)

 

DREAMS 夢の記憶

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僕の場合、夢を捕まえる道具は紙と鉛筆である。夢を捕まえるコツは、夢の中であまりストーリーに執着しないで、夢の中に出てくるものを一つか二つ覚えておいて起きたらすぐにその単語を紙に書くことである。あとでその単語を繰り返し頭に浮かべていると不思議と逆算式に夢のストーリーが甦る。(別冊 大竹文章より)

ニューヨークで 日本人のアーティストに会う。
彼は日本の白いガードレールで
グッデンハイムミュージアムをコピーしたと
自慢していた。  ぶっとぶ(本文より)

多くの人がおそらく一度は、夢日記をつけようと、枕元に紙とペンを置いて眠りについた経験をお持ちなのではないでしょうか。私も御多分に漏れずその一人ですが、まず、記した字が判読できない。そしてそのことを気にしはじめると、寝ていても意識のどこかが覚醒し続けるようになり、おちおち夢も見ていられなくなってしまいました。なんて、自分の経験談はどうでもいいのですが、この分厚い本一冊丸ごと夢の集積であり、その再々構築(本という形にする段階で)だと思うと気が狂いそうです。みっしり描かれてます。別冊の文章がまたとてもおもしろいです。

 

宇和島 大竹伸朗×森山大道×谷岡ヤスジ coyote 創刊準備号

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別の箱から大判が出てきました。さっそくウインドウの仲間入りです。
スイッチパブリッシングの雑誌coyote創刊準備号として無料配布されたタブロイド判の作品集です。森山大道による撮り下ろし写真を大竹伸朗が構成、コラージュ。表紙、裏表紙には、宇和島出身の漫画家谷岡ヤスジさんのコマ絵がアレンジされています。
文章は、創刊号に掲載された大竹伸朗のエッセイ「メッタメタ大道講座——宇和島撮影同行記」を読んでね、という豪華過ぎる掴み。

 

図録 Shinro Ohtake 1984-1987

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大竹の酒中で織り交ぜられる質感と素材。それは感覚によってとらえられた確かな世界の再構築であり、また知的で情緒的な我々の世界の————けっしてリアルではないというわけではないが————はかない一面を暗示するものである。(マルコ・リヴィングストン序文より)

 

倫敦/香港 一九八〇

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ブックデザイン:大竹伸朗

人の一生にはそれぞれの速度があるらしいという事であった。そして、自分の中のその速度に越いつく最良の方法が、描きたいと思った対象から全く視点を外し、紙も鉛筆の先も見ずになるべく早く一気にそれを写し取る鉛筆画という方法と重なった。(別紙 大竹文章より)

 

EZMD

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ブックデザイン:大竹伸朗

謎めいたタイトルですが、別紙解説によると、
EEJITとEASYから「EZ」、「MD」は Marcel Duchamp とのこと。
EEJITというのは、アイルランドやスコットランドの方言で、馬鹿を意味するのだとか。

また解説には(英文なので誤読の可能性もありますが)、

1983年の夏、ロンドンの古書店で手にした、60年代のドイツのポルノ写真小説のチープな紙に色鮮やかな印刷が頭から離れず…

と、おそらくこのようなことが書かれているので(間違えありましたらご指摘ください)、そこからインスピレーションを得て、このデュシャンオマージュへ至ったのではないかと思われます。
二分冊となっていて、一冊は大竹本人によるコラージュ。もう一冊は、シンガポールのアーティスト、タイ・テオ・チュアンによるモノクロのイラスト構成されています。しかし、ちょっと気になる記事を発見しました。鈴木芳雄氏のブログによると、どちらも大竹伸朗本人なのだとか。

「記憶の蔵 映画ポスター市」ポスター一覧

完売の表示がないものも、すでに売れてしまっている場合もございますので、お気軽にお訊ねください。

奥村昭夫と『シネマ・ヴォワイアン通信』のこと

奥村昭夫と『シネマ・ヴォワイアン通信』のこと

シネマ・ヴォワイアン通信 No.3『猶予もしくは影を撫でる男』『三人でする接吻』

「記憶の蔵 映画ポスター市」も、残すところあと2日間。
最終日(4/29)は「上馬場健弘監督作品上映会」のみの開催なので、じっくりご覧いただけるのは、明日(4/26)が最後です。パンフレットや紙モノも少しずつ追加してますので、ぜひご来場ください。

さて、今日ご紹介するのは、そんな追加補充の中の一冊。現在はゴダール本の訳者としてその名を知られる奥村昭夫が、前衛的な自主映画作家だった頃の記録です。全体の半分ほどは奥村と宮井睦郎との対談で、東大劇研で芝居をしていた奥村が映画を撮りはじめる経緯や、なぜ映画をつくるのかということについて、かなり突っ込んだ会話がなされています。たとえばこのような発言など。

映画にもう一つの機能を持ち込みたいってことなんだ。作る側は作る側で自分の立場を明らかにし、見る者に問いかけるというようなね。

『シネマ・ヴォワイアン通信』第3号奥付


奥村昭夫関係ではもう1枚、1976年に新宿のアドホックビルで開催された自主映画祭「フィルム・タイムライブラリー」のチラシもあります。奥村の『猶予もしくは影を撫でる男』は、足立正生の『銀河系』との2本立て。ほかにも、萩原朔美&粟津潔、大林宣彦&ドナルド・リチイ、松本俊夫&寺山修司、田名網敬一&かわなかのぶひろ、など、魅力的な組合せが並んでいます。裏面には全員のプロフィールも載っていますが、そのなかから奥村のものを引用しておきます。

奥村昭夫 67年に制作グループ “シネマ・ヴォワイアン” を結成。その第一作『猶予もしくは影を撫でる男』は、第一回〈草月実験映画祭〉にてグランプリを受賞。以後『三人でする接吻』『狂気が彷徨う』と問題作を相次いで発表。先日上梓された『気狂いゴダール』の訳者でもある。

 「フィルム・タイムライブラリー」(表)  『気狂いゴダール』(奥村昭夫 訳)


最後に。
奥村昭夫については、高崎俊夫さんの「映画アットランダム」にて、多くのことを教わりました。
未読の方は、ぜひ。
http://www.seiryupub.co.jp/cinema/2012/03/post-41.html

ジャン=ピエール・メルヴィルと植草甚一

ジャン=ピエール・メルヴィルと植草甚一

記憶の蔵 ポスター市 帳場背面

「記憶の蔵 映画ポスター市」が、本日いよいよ幕を開けました。オープン直後の喧騒も落ち着き、帳場でのんびりしているのですが、その背後にはこんなパンフレットを飾ってみました。左が、ジャン=ピエール・メルヴィル監督『ギャング』のパンフレット、そして右は『ヘラルド・シネフレンド』第10号の中綴じ付録、同じ映画のフランス本国版ポスター?のリプリント。買い取りの仕分けをして以来、ずっとこんなふうに並べてみたかったので、達成感はかなりのものです(笑)

『ヘラルド・シネフレンド』という冊子のことは今回初めて知ったのですが、巻頭には植草甚一が「なぜメルヴィル映画は面白いのか?」を寄稿してますし、表2にはサントラ盤の広告まで載っていて、メルヴィル・ファンにとっては、ある意味パンフレット以上に貴重かも。

「彼の作品は9本のうち、たった2本しか見ていない。それなのにどうして、メルヴィルらしいな、と思って感心してしまうのだろうか?」

と語る、1967年の植草さん。もし『マンハッタンの二人の男』がリアルタイムで日本公開されていたら、どのような文章を書かれただろう、とあれこれ妄想をふくらませました。

あとこの記事でどうにも可笑しいのは「ジャン・ピエール・メルヴィルと筆者」と題された写真。キャプションのつけ方も含め、素晴らしいセンスだと思います(笑)

植草甚一「なぜメルヴィル映画は面白いのか?」(『ヘラルド・シネフレンド』第10号)

『ギャング』サントラ盤広告

急遽出品『映画評論』60冊!(芹明香のことも少しだけ)

急遽出品『映画評論』60冊!(芹明香のことも少しだけ)


明日4月19日(土)に初日を迎える「記憶の蔵 映画ポスター市」。一昨日の搬入・展示作業の結果、販売スペースに少し余裕ができたので、急遽『映画評論』も60冊ほど販売することにしました。
この雑誌はともかく表紙がカッコイイので、ちょっとだけですがご紹介。これをやらないと惜しくて売れないので、少しの間お付き合いください(笑)

1950年代に長らく表紙を担当した中原史人のデザインもしゃれてますし、60年代なかば頃の小林泰彦も大好きですが、こうしてまとめて目にして圧倒されるのは、篠原有司男から林家木久蔵まで、さまざまな人が入れ代わり立ち代わり手がける1968年以降の華やかさ。当時のこの雑誌の勢いを感じます。ご来場のうえ、手に取っていただけるとうれしいです。

『映画評論』1974年6月号 50周年記念放談会「男と女はアレしかないんよ!」本当は表紙だけでなく内容についてもじっくり紹介すべきなのですが、今はちょっと時間がないので、ひとつだけ。1974年6月号の50周年記念放談会「男と女はアレしかないんよ!」には芹明香も参加しているのですが、神代辰巳、中島葵、斉藤正治、佐藤重臣という面々を相手に、あっけらかんと寛ぐ彼女は、じつに魅力的。4月19日は「わたしたちの芹明香」の開幕日でもあるので、ぜひお買い求めのうえ、阿佐ヶ谷へお出かけください(笑)

あとそう、個人的には、司会の斉藤に「絵沢萠子をいつも使うというのは、どういうことなんですか」と訊かれ、「あのキャラクターっていうのは、非情に少ないんですよ」よ答える神代、そして「ゴールデン街では絵沢萠子リサイタルをやろうというプランナーもいる」と続ける佐藤、という会話も印象に残りました。ぼくも高校生の頃、「このおばさんはどうしていつも出てるのだろう」と思っていたので(笑)

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