運び屋ナンダロウ

南陀楼綾繁さんの新刊、『町を歩いて本のなかへ』(原書房/2,400円+税』当店にも入荷しています!

店は場所、商品、店主のほか、様々な人たちが出入りしてくださることによって、新鮮な酸素がもたらされ、息をしている。
うちの場合、本を買ってくださる人、売ってくださる人、イベントをしてくださる人、ご近所とのつながり、不忍ブックストリートの仲間、友人知人、物覚えの悪い経営者二人と根気よく付き合ってくれる税理士さん、そして、店と店を血液のように巡る人々がいる。昔の薬売りや瞽女さんのように、行ったことのない土地の情報や流行り、ときに遠来の客、様々なものをもたらしてくれる。SNSにより海の向こうのことまでリアルタイムで届く世の中にはなったけれど、やはり生身の人間がもたらしてくれるものの栄養価は高く、確実に血肉になる。

古書ほうろうにとっては、最古参のお客様の一人である、南陀楼綾繁氏がまさにそう。開店当初から利用してくれており(話すようになるのは数年後)、不忍ブックストリートというブックイベントの運営仲間になってからは、全国に広まった「一箱古本市」をはじめ、町おこし的なものも含め多様なブックイベントにナンダロウ氏が呼ばれるようになり、私たちは「店」に居ながらにして、いろいろな土地に知り合いが増えた。勝手にそんな気分になっている片思いのこともあれば、実際にご来店くださったり、紹介していただいてミニコミを販売させていただくようになったり。また年に一度お願いしている、「ナンダロウアヤシゲのみせばん」の同僚には、ナンダロウ氏の人柄ゆえか、遠方からも同僚が駆けつけてくださる。(今年も7月9日、10日の二日間は、ナンダロウ氏がみせばんをします。本もご用意してますので、その場でサインしていただけます!まだの方、買ってね♡)
もしもナンダロウ氏との会っていなければ、古書ほうろうは今とはずいぶん違う店になっていただろう。

『町を歩いて本のなかへ』には、ここ10年に書かれた文章が、ヴァラエティ豊かに収められている。10年といえば、ちょうど町から町への生活がはじまったころからだ。ナンダロウ氏によってもたらされたもの、われわれを含むどこかの誰かが受け取った栄養の源の多くがこの本に収められている。

ある時、何か伝え忘れたかして、店を出たナンダロウ氏を追いかけたことがあった。ほんの一拍おいたくらいだったが、姿が見えず、追いつくのに息を切らした憶えがある。意外だったけど、歩く速度が速いのだ。鮮度の落ちぬうちに次へ栄養を。ほんとに血液のようだと思った。

『町を歩いて本の中へ』の表紙のイラストは、山川直人さん。この道の先にはどんな未知との遭遇があるのか夢が膨らむ。開けば、一瞬文字の多さにびっくりするけれど、「町と人と」「古い本あたらしい本」「早稲田で読む」「本と人と、それから」を行ったり来たり、お弁当のお供にその日の気分で開いた頁を読みすすめている。

「早稲田で読む」は、会う前のナンダロウ氏の生態を知るに面白く、今日は、早稲田大学日本民俗研究会「後輩の証言」を読んだ。なるほど。。学生の頃から養分を振りまいてた人だったんだなぁ。

南陀楼綾繁氏による 『町を歩いて本のなかへ』地域別記事一覧→

(この記事のタイトルは寒空はだかさんの殺し屋デンジャラスの影響で思いつきました。)