板橋美術館「タラブックス」展最終日に駆け込んできました。
展示の中で印象に残っているのは『母なる神の布』。表紙を開き、中に収められた折り本を立てかけると「祭壇」になる仕立てで、絵本というより「祈り」なのでした。絵を描いた更紗職人のジャグディーシュ・チータラー氏の映像が流れていました。路上で大きな鍋をぐつぐつさせて染料を調合し、代々受け継がれてきた配合を説明し、仕事に誇りを持ち、目を輝かせて世界中の幸福を夢見るチータラー氏に胸が熱くなりました。
わたしがタラブックスの本を初めて手にしたのは、2012年。お客様が売りに来てくださった本の中に『むらさきいろになった すずめ』 など何冊かが入っていたのでした。どうしてこんなに手の込んでいる、どうみても手刷りの本が、流通にのせられるんだろう!とあの時の驚きは忘れられません。
その時の名残が1冊だけまだ絵本の棚に残っていました。『Excuse Me, Is This India?』背中から表紙は布が使われていて、タイトルはスクリーンプリント。本文は印刷ですが、様々な柄の生地のパッチワークと刺繍で細かく表現されています。原画を見てみたい!
「タラブックスjp」のサイトはこちらです。→*
さてさて、タラブックスに触発されて、昭和19年に発行された更紗図譜を品出ししました。
南方更紗圖譜 (南方更紗図譜) ¥28,000+税
昭和19年 帙入 彩色木版20葉揃い 別冊付き
限定三百部のうち第173號
帙の数カ所に傷みが見られますが、経年を鑑みるにコンディションは良好だと思います。
編纂 造型版畫協會
印刷 ナガヤ圖版工房
発行 造型版畫協會