投稿者「koshohoro」のアーカイブ
虫の日に。Bernard Durin『LES INSECTES』
Bernard Durin『LES INSECTES』を新入荷棚へ。高山先生のお宅に伺った際、最後に棚から抜いてくださった一冊。
「綺麗でしょう。でも、なんで買ったかのか、全然思い出せないんだよ。昆虫が好きなわけでもないのにね」 pic.twitter.com/JxVMOt1Lbp— 古書ほうろう (@legrandsnes) 2018年5月20日
すでにご売約いただいてる本ですが、高山宏先生の棚からやってきた昆虫細密画作品集です。
虫の日に記念撮影しました。1981年、フランスDenoelより刊行。
(驚異の美しさ、ですが、ページめくるのに勇気が要りますね。。)
本日の品出し 2018年05月26日(土)
高山宏先生より、蔵書を譲り受けました
ご自身のツイートをご覧になった方も多いと思いますが、高山宏先生の蔵書を譲り受け、少しずつ放出しています。
學魔も終活。連休中に二度ばかり失神。結構な奇病のようです。視力ほぼゼロ。かねて決意のごとく、蔵書三万を当分放出し続けるので、珍書ハンター、人文ファン、學魔眷族ひとしく、古書ほうろうを中心に古書市場の動向を注視せよ。諸君、さらば(と、一度きちんと言っておく)。
──日々、貴重なり! pic.twitter.com/gZujVDmyHX— 高山宏@学魔 情報蒐集アカウント (@gakumanight67) 2018年5月9日
始まりは、5月2日の開店直後、先生からのお電話でした。お話するのは水族館劇場の2010年公演『NOMAD 恋する虜』以来なので、もうそれだけでびっくりでしたが、その内容たるや!
「じつはほぼ失明状態でねえ。それに電車のなかで突然失神したり。そんなこんなで、もう本は手放すことに決めました。山口昌男には「高山くんも古書の世界に足を踏み入れるべきだ」なんて常々言われてきたど、結局ぼくは新刊だけでやってきただろ、だから古本屋に知り合いがいないんだよ。雑誌や雑本は焼いちまおうかとも思ったけど、やはりそれはできなくてね(笑)。そんなとき、君のことを思い出した。君の店で、有名なストリッパーが踊る横で喋ったときのことをね。とりあえずバン一台分整理したので、近々取りにきてくれませんか。査定をする必要はないよ。すべて差し上げる。お駄賃として、世界に99冊しかないヴェラム装の『神曲』もプレゼントしよう」
微に入り細に入り、はたまた大いに脱線する先生のお話は1時間半ほど続いたのですが、その間、頭は真っ白。驚きと喜びと畏れ多さがないまぜになったまま、「4日は水族館の打ち上げがあるので、5日に伺います」とお伝えし、受話器を置きました。
「これはぼくの賭けなんだけどね。宮地くんは、本好き7割、商人3割ぐらいじゃないかな? そういう人に託すのがよいと思ってね」という先生の言葉を噛みしめながら。
5月5日。店を臨時休業して美華子とお宅に伺うと、玄関からもう本の山。
「階段の両脇に積んであるのが、今日持ち帰ってもらいたい本なんだよ」と言われ、見上げると、頂上にはなにやら祭壇らしきものが設えられており。
「『神曲』はあそこ。さしづめここは地獄だね、ハッハッハ」と呵呵大笑。たしかにダンテを頂戴するにあたってこれ以上の趣向はありませんが、それ以上に、体調が優れないなか、ここまでのことをしてくださる先生の茶目っ気と気遣いに、心の中は滂沱の涙です。「ともかく挿絵が素晴らしくてね」と仰る『神曲』に一刻も早くたどり着くため、さっそく作業を始めました。
そして数時間後。煉獄を過ぎ、いよいよ天国に差し掛かると、祭壇のように見えたのは、なんと超大判のルオーの『受難』。もう完全に降参であります。古本屋になって20数年、様々なお宅に伺いましたが、このような「歓待」を受けたのはもちろん初めてのこと。ただただ感激しながら、帰路につきました。
店に戻って、いよいよ『神曲』ご開帳。美しい挿絵に溜息をつきながら、この貴重な本をどのように扱うべきか、しばし相談しました。
「宮地くんの店の看板にしてくれたらいい。ぼくにとっては悪魔祓いのようなものだよ」
先生はこんなふうに仰ってくれましたが、前日には挿絵を一枚ずつじっくり眺め、別れを惜しんだのだそう。できるだけたくさんの人に見ていただく場をつくることが、譲り受けたぼくたちの使命です。かといって棚に無造作に並べ「ご自由にご覧ください」とはいかないわけで、まずは以前お世話になった、本の保存の専門家の方に相談してみることにして、この日は箱に仕舞いました。
さて、ここまででも充分凄い一日だったのですが、最後にもうひとつ、驚きが待っていました。仕分けと整理を終え、ビアパブイシイで一杯やっていたときのこと。隣の席の二人連れの男性に「ほうろうさんですよね」と声をかけられました。
「ぼくたち、以前、水族館劇場で舞台を担当していた者です。今日は、鏡野有栖さんが主宰する「心中椿」の公演を鶯谷で観て、その帰りなんです」
いや、びっくりしたのなんの! なぜなら鏡野有栖こそが、古書ほうろうで高山宏と共演した踊り子その人なのですから。 なんという高や魔力! お導きに従い、後日、千秋楽に駆けつけたことは、言うまでもありません。
というわけで、高山宏旧蔵書を、古書ほうろうにて、順次放出中です。とくにコーナーなどは設けず、それぞれの本にとって相応しい場所で、他の本と一緒に並んでいます。
「蔵書家の多くは、結局死蔵家でね。その点、荒俣宏は必要なくなった本をちゃんとマーケットに戻すだろ。ぼくは彼のそういうところも尊敬しているんだ」
これは今回先生がたびたび仰っていたことですが、うちで死蔵してしまってはなんにもならないので、すべて店頭に出します。いただいたものなので、その分お値段も安めに。書き込みもそのままに。學魔眷族のみなさまは、ぜひ探してみてください。『神曲』については、さきほどお話したとおり、ご覧いただく準備ができ次第となります。いましばらくお待ちください。
古書組合に入りました
4月9日付けで、東京古書組合に加入しました。
1998年に古書ほうろうを始めてからちょうど20年、その間、組合に入らず、この店で買った本だけをこの町で売ってきました。おそらくあまり例のないことで、にもかかわらずそれが成り立ったのは、ひとえにこの町に暮らす本好きのみなさんと、気に入って通ってくださるお客さまのおかげです。心から感謝しています。今回のことを谷根千工房の山崎範子さんにご報告したら「ほんと奇跡的よね」と仰ってくれましたが、まさにその通りで、たとえば羽鳥和芳さんの1万冊に及ぶ蔵書を買い取ったときも、さまざまな方の協力のもと、光源寺での「羽鳥書店まつり」というこれ以上ないかたちで売り切ることができました。
「ぼくたちの仕事はお客さまがお持ちくださった本をきちんと並べることです。この店の棚をつくっているのはこの町のみなさんでもあるのです」と、取材のときなどしばしば言ってきましたが、そのことは本当に誇らしく、だからこそ、組合に加入すること(=市場で本を買い、市場に本を売ること)についは大変悩みました。このまま続けていくことも、決して不可能ではないのですから。
それでも加入を決意したのには、もちろん理由があります。ひとつはこの4月で50歳になり、「せっかく古本屋になったのに、このまま市場や組合のことを知らずに死ぬのはもったいないのでは」という気持ちが湧きあがってきたことです。身体のあちこちがガタついてきて、先行きについて考えざるを得ない毎日ですが、もし入るならそろそろタイムリミットなのでは、と。今回、加入にあたっての保証人は、稲垣書店の中山信行さんにお願いしたのですが、2006年の「稲垣書店がやってきた」は、古書業界とほとんどつながりのなかったぼくたちが、初めて「古本屋」の凄さに触れた事件でした。同じ「古本屋」なのに、やっている仕事も扱っている本もまったく違う。組合に入ればああした深い世界の一端を覗くことができるのかも、と強く意識しました。また、会期中のイベントの打ち上げで彷書月刊の田村治芳さんが仰った「組合は楽しいよ。絶対入ったほうがいいよ」という台詞とそのときの表情は、その後田村さんが亡くなってからもずっと心の片隅にあり、決断を後押ししてくれました。
もうひとつの理由はもっと現実的な話で、市場で本を売りたい、これに尽きます。この店が長年抱え続けてきた最大の問題は、本の出口が売れるか捨てるかしかないということで、つまり、売れないけど捨てられない本(たくさんあります)の行き場がないのです。なので、よい本が大量に持ち込まれても、それをすべて出すスペースをつくれない。「ちょっとの間だけ」と箱につめた本が、そのうち存在すら忘れられ、バックヤードの奥深く眠りについてしまう。この20年は、ある意味そんなのことの繰り返しでした。これを解消するには市場を活用するしかないことは、もうずっと前からわかっていたのですが、今回ようやく踏み切ることができました。
しばらくの間売れなかったものは、大切な本以外市場に出す。毎週バックヤードの整理をして、この店に相応しいものは棚に並べ、売りづらいものは市場に出す。言うほど簡単でないのはわかっていますが、こういう作業を地道に繰り返していけば、地層のように積み重なった大量のダンボールも確実に減るはずで、なにより店内の棚が今よりずっと活き活きとするでしょう。また、お金とスペースの問題で二の足を踏むこともあった大量の出張買取を、躊躇せず受けられるようになるのも気持ちのうえではとても大きいです。
あとこのことは、この場所でいつまで店を続けられるのか、という問題とも関わっています。古書価も売り上げも年々下がっていくなか、これからも家賃を払い続けられるかは完全に未知の領域です。閉店はともかく、移転縮小というのは決してない話ではありません。けれど「これは!」という物件が見つかっても、現在の状況ではおいそれと動くことはできません。いざというとき大量の本をさばく手段として、またそのときに備え身軽になっておくためにも、市場の存在は魅力的に思えました。いずれにしても、自分がちゃんと働かない限り絵空事に過ぎないので、まずは定期的に出品(市場に売りに出すこと)できるよう、仕事のやり方を変えてみるつもりです。
加入からちょうどひと月を経た一昨日、新組合員のための一日経営員体験をさせていただき、いよいよ市場にもデビューしました。経営員というのは神保町の古書会館で毎日開催されている市場(正式には「交換会」)の運営スタッフで、ぼくがお世話になったのは毎週水曜に開かれる「東京資料会」。様々な古本屋が持ち込んだ大量の古本や資料が、入札を経て、また別の古本屋に渡っていくのを初めて目の当たりにし、ただただ興奮しました。「古本屋にしては、目にしてきた本があまりにも少ないのではないか」という劣等感も、じつは今回の決断に影響しているのですが、やはりこれを日々見ているのといないのとでは全然違いますね。後片付けを終えたあとの終礼で「どうでしたか?」と訊かれ、思わず「楽しかったです!」と言ってしまいましたが、それがいまの素直な気持ちです。
右も左もわからない新米に暖かく接してくださった資料会のみなさん、直接指導してくださったサンカクヤマさん、さまざまなアドバイスをくださった同業のみなさん、ありがとうございました。そして、石神井さんに「待ってたよ!」と言っていただいたのは、とてもうれしく励みになりました。張り切っていきます!
水族館劇場『横浜寿町公演 FishBone 特別編集号』(2017)と、『総集編』(2018) お取り扱いしてます。
“横浜寿町 野戦攻城!
日雇労働者の四つ辻に藝能の宿神が転生し、
この世のような夢三部作の最終未完成版を乱舞する!
蟬時雨鳴り止まぬ太陽の季節に、
港町が娯楽の殿堂に変貌する
一大ページェント顕現!!”
2017年9月、横浜トリエンナーレのプログラムのひとつとして、横浜寿町で水族館劇場のテント芝居「もうひとつのこの世のような夢 最終未完成版」が打たれました。
ドヤ街のど真ん中、日々変貌し続けた〈盗賊たちのるなぱあく〉には、街の住人と、一見客が入り混じり、「アート」作品が野ざらしで展示されていました。
“アウト・オブ・トリエンナーレ”を標榜し、トリエンナーレの内側から「アート」とは何なのか、疑問を体現した水族館劇場。
白昼夢のように現れ、消えていった巨大廢園。
この公演を後の世に残すための2冊です。
青は公演に先駆け、黄色はすべてを終えて編まれた総集編です。
各 1,300円+税 2冊一緒にお買い上げの場合は、2,000円+税
発行:水族館劇場
編集:羽鳥書店
────────────────────────────────────────────────────
水族館劇場『横浜寿町公演 FishBone 特別編集号』(2017)
道窮まり命乖くも 桃山 邑
どっこい人間節の街 ── 老いていくことの意味 野本三吉
寿町でブルースを 二見 彰
黒い翁(サトゥルヌス)の子供たち ──トリエンナーレを地底から撃つために 田中 純
序破急ならぬ、破序急、そして転々々……旅は続く 淺野幸彦
藝能の根源から 安田 登
地霊と共に生まれ変わる「この丗の夢」 大島幹雄
江戸文化のからくり 田中優子
天幕芝居の原像 翠 羅臼
桃山讃江 内堀 弘
観劇記 ── 水族館劇場「この丗のような夢・全」への返歌 三枝明夫
雑感 水族館劇場と写真家・鈴木 清 ── 夢と現のマージナル 鈴木 光
一九八七年、その頃ぼくは何をしていただろう 那須太一
寿の空をヒラヒラと 秋浜 立
誰のための芸術? 毛利嘉孝
水族館劇場が、地域アートに齎すかもしれないもの 藤田直哉
水族館劇場さんとの関わり 岡本光博
一夏の「幻」を捉えるために。 居原田 遥
楽日、寿町に行ってみよう(かな) 高山 宏
思ふ行くへの …… 。 中原蒼二
編集後記にかえて 矢吹有鼓
水族館劇場『横浜寿町公演 【総集編 2018】FishBone 特別編集号』
みえない境界からあふれでるように叫びとささやきが呼んでいる 桃山 邑
世の終わり 近づきくればいつの日か おれたちの出番くると知りそめ 野本三吉
とある実録・寿町 千代次
水族館劇場の寿町公演を観て 村田由夫
寄せ場寿町の夏 小林直樹
水族館劇場の芝居 佐藤眞理子
二〇一七年夏、横浜寿町に異変がおきた! 長澤浩一
「寿には娯楽がない」という 近藤 昇
今年の寿町夏祭り、何故いつもの場所でやらないんだろう? 石井淳一
盜賊たちの思い出のるなぱあく 癸生川 栄
月明かりに立って 相澤虎之助
るなぱあく古書街 宮地美華子
ゴドー達の街へ 津田三朗
あてにしないで待て もうひとつふたつの夢 この丗のような白昼夢(るなぱあく) 椹木野衣
「この丗のような夢」@寿町 逢坂恵理子
島と星座とガラパゴスと水族館劇場──「この丗のような夢 寿最終未完成版」公演顛末記 庄司尚子
台風への備え 野口敦子
水族館劇場の美学――「関係性の美学」でも「敵対性の美学」でもなく 藤田直哉
「水」の奇跡 毛利嘉孝
新生果実 村井良子
水族館劇場へようこそ 桑田光平
ジャズと演歌と桃山邑 佐藤良明
黒い翁 安藤礼二
孤独な熾火たちのために──「盜賊たちのるなぱあく」の名残 田中 純
鈴木清『天幕の街』より
音の台所&春畑セロリ『ゼツメツキグシュノオト』絵本、CD、楽譜が入荷しました。
『ゼツメツキグシュノオト』というタイトルのすてきなデザインの絵本と、CDと、楽譜が入荷しました。
絶滅危惧種に指定されている生きものに思いをよせて作られた、絵と、詩と、ピアノ曲。
毎月、一種ずつ、彼らの鳴き声や習性から音楽的な特徴を見つけて、音の台所さんが絵と短い詩を書き、春畑セロリさんが楽譜1ページ分くらいの小さな曲を作る、音楽之友社のweb連載のなかでのお二人の共同作業から生まれた作品たちです。
生きものに音楽的な特徴?
すぐにはピンとこないかもしれませんが、
例えば、一番初めに登場する「リュウキュウコノハズク」は、南の島の小さなフクロウ。
南の島の日の暮れた森には、コホーッ、コホーッと雌を誘う雄の鳴き声が響くのだそうです。
音楽的な特徴は、「エコー」=反射音、こだま効果。
リュウキュウコノハズクは、「エコー」というタイトルの詩になって、ほら、月を見ています。
ピアノの曲名は「リュウキュウコノハズク」。
こんなふうに絵本では、左のページに、曲の中からもっとも特徴を表してる部分の小さな楽譜。
右のページには生きもの暮らす風景の絵と短い詩。
小さな楽譜を眺めて音を想像して、詩を小さく声に出して読んでみる。紅型染のようなきれいなグラデーションのイラストをうっとり眺めてるうちに、いつのまにか小さな絵本の見開きから、夜の森が立ち込めてきて、何か生きものの気配を感じてきます。そしてまた左の楽譜に目がいくとピアノが聴こえてくるようで…いつまでも絵本のなかを漂う心地よさ。
そしてこの楽譜、小さいのに何か不思議な魅力があるなぁと思ったら、この絵本のために音の台所さんが作ったオリジナル書体なんですって!
そんなふうにしてできあがった、18の絵と詩と曲たち。
1. リュウキュウコノハズク/エコー
2. リュウキュウアカショウビン/ポルタメント
3. エゾナキウサギ/ポコ・ア・ポコ
4. ラッコ/タイ
5. アオウミガメ/フェルマータ
6. アマミノクロウサギ/クレッシェンド
7. イリオモテヤマネコ/ソット・ヴォーチェ
8. ヤンバルクイナ/スタッカート
9. ナゴラン/トリル
10. リュウキュウウラボシシジミ/ピアニッシモ
11. サンゴ礁/デクレッシェンド
12. ライチョウ/パウゼ
13. ニホンリス/ヴィヴァーチェ
14. ホッキョクグマ/ラルゴ
15. クマゲラ/レッジェーロ
16. ニホンモモンガ/グリッサンド
17. チーター/プレスト
18. カカポ/コモド
こちらは、ニホンリス。音符を見るだけでもすばしっこい姿が目に浮かぶよう。
生物学方面の専門の方々も、この作品たちを後押ししています。
絵本、CD、楽譜とも、巻末には、科学コミュニケーターの深津美佐紀さんによる、それぞれの生きものたちの説明や、絶滅危惧種データが収録されていて、生物学的にもさらに詳しく知ることができるようになっているのです。
音楽と生物学を行ったり来たりできる!
CDには、音の台所さんによる詩の朗読も収録されています。内藤 晃さんの弾くピアノが繊細で優しくて、イラストにぴったり。
楽譜には、さまざまな上演方法が提案されています。店のピアノをちょこっと弾いてみてもいいですよ♪
以下は、楽譜のまえがき、総合地球環境学研究所の阿部健一さんによる「生物学者はピアノが弾けない」に書かれている文章の一部です。
“「絶滅危惧種」も「生物多様性」も、実は、われわれ生物学者が創った言葉だ。仕方がなかった。生き物のことを頭で考える人が多くなったから、難しい言葉を使って理詰めで説明しなければならなかった。でも生き物を想うときに必要なのは、心に響く言葉だ。本当に大切なことはやさしい言葉で語られている。
その言葉を、音の台所さんの絵と春畑セロリさんの音楽がつくりだした。音楽は究極のやさしい言葉だと思う。頭ではなくて心に語りかける。”
そうか。学者のみなさんも、ほんとうは難しい用語ばかりではなく、生きものたちを優しい言葉で語りたかったのだ。生きものと出会うきっかけに、音楽という扉もあってもいいのだな。
音の台所さんとほうろうとは、不忍ブックストリート実行委員仲間でもありました。
ブルクミュラーのピアノ曲と童話を題材にした、ピアノと語りでつづる「音楽紙芝居」は、古書ほうろうでやっていただいたこともあります。
なので音の台所さんの作品がこんなふうにすてきな装いで、手に取れる姿になって、ご紹介できるのがもううれしくて!
ぜひぜひ店頭で実際にご覧ください。
ゼツメツキグシュノオト特設サイトもキュートです。あわせてご覧ください。⇒★