日々録」カテゴリーアーカイブ

ピアノと甲賀さんとファビィ ルビィ


3ヶ月前、思いがけずピアノを譲り受けました。
先月の終りに調律も終え、今年の芸工展では「古書ほうろうでピアノを弾こう!」と銘打っていろいろな方に弾いていただいています。企画したときには誰も弾いてくれなかったら寂しいねと話してたのですが、よちよち歩きのお子さんや、ご近所にお住まいで電子ピアノしかなくてという女性、たまたまチラシを置きに見えたアーティストの男性、楽譜持参の女性、今日はピアノと歌のデュオの練習に来てくださったお二人もいました。
突如響き渡る、ショパン、モーツアルト、バッハ、デイヴ・ブルーベック、坂本龍一の調べに、居合せたお客さんから拍手が起きることもしばしば。美しい自作曲もありました。誰が何を弾くのか全くわからないというハプニングの連続に、つい仕事の手が止まります。

そして古本屋といえば当然ながら壁=棚なわけですが、ピアノを置いたことで、その上に僅かながらも空間が生まれたことも貴重な副産物でした。この記念すべき壁には、平野甲賀さんのリトグラフにトップバッターを務めていただいています。
左が、玉川しんめい『ぼくは浅草の不良少年 実録サトウ・ハチロー伝』、右が、林達夫評論集『歴史の暮方』です。質感が少しでも伝わるよう、あえて額装はしないまま。これから定期的に入れ替えて展示販売していきますので、ぜひピアノの上にも御注目ください。

そして甲賀さんの前でピアノの演奏を心待ちにしてる人たち。こちらも芸工展の企画で、お客さまの佐藤ひろえさんが作られた「ファビィ ルビィ」です。赤や青のボリューミィなヘアスタイル、ばっちり施されたアイメイク、奇抜なドレス、一見挑発的な印象を受けるのですが、飾ってみるとあら不思議。本の色や気配をうまく味方につけつつ、しっかり本も引き立ているんです。ピアノの上だけでなく、店内あちこちに居ますよ。今度の日曜日、26日が最終日となります。ぜひ会いに来てください♪
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原発情報災害センター図書サロンへ古書ほうろうの本もお送りいただきました。

原発関連書籍

谷根千・駒込・光源寺隊として被災地を応援し続けていらっしゃる光源寺の島田冨士子さん、谷根千工房の山﨑範子さん、故郷福島との橋渡しをしている菊池京子さんから、この9月に本の寄贈の呼びかけがありました。
送り先は、今回の呼びかけではじめて知りましたが、福島県白河市の原発情報災害センターという、福島の原発災害について多くの人に正しく知ってもらいたいとの思いからに設立された民間による施設です。
図書サロン棟もオープンしたそうですが蔵書がまだ少なく、原発、放射能、公害、環境問題、新エネルギー等に関連する書籍や映像資料などをセンターが希望されているとのことでしたので、古書ほうろうからも関連書籍をお渡ししました。10月7日に無事発送されたとのご報告がありました。

福島県白河市 原発情報災害センター:http://genpatusaigai.web.fc2.com/index.html

震災から3年半、我々の周りでは、被災地のみなさんとの関係を保ち、状況の変化に応じながら、応援を続けている方々がたくさんいらっしゃいます。みなさん生活に余裕があるわけではなく、自分たちと同じように日々の生活に追われながらのことなので、頭が下がります。忙しいから自分には何も出来ない、というのは言い訳にもなにもならないと毎日思いながら、それでもなかなか役に立てていないのが現実です。

「図書寄贈による情報支援」は期限を設けずしばらく続けるとのことですので、何か力になりたいという方は、うちの店に声をかけていただければ、窓口の菊池京子さんにお繋ぎできます。

ほうろう青空バザール 2014 アルバム

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早いもので一週間!

先週末の8月30日(土)、31日(日)の二日間、今年も店先のスペースを使って青空バザールを開催しました。今年は、地元のお店、古道具Neglaさん、6月にいったんお店を閉じられたヴィンテージ古着のcaikotさん&レコードとCDのTURN ONさんにも出店していただき、もったいないくらいたのしいバザールになりました。お越しくださったお客さま、Neglaさん、caikotさん、TURN ONさん、撮影の山田しげるさん、ありがとうございました。

地元のお店にわざわざご出店いただく意味を考えた時期もありましたが、みなさんとやってみたいという気持ちが勝りました。一緒にやることで、足し算以上の特別な何かが放散されたのではないかと思います。力の抜けたハレの場というのは、やってる側にも実に居心地のいいものでした。

店って、気になっているけど、扉を開けて中に入るのはけっこう勇気が要るもの。なので、新しい発見の場としての役割も少しは果たせたかな、というのと、共通のお客さまも多勢いらっしゃって、いつもとは違う雰囲気の中で、みなさまたのしそうに過ごしてくださっているのを目にして、やってよかったと思いました。

とっておきのスペシャルとなった二日間、来年もやります、と宣言してそこに標準をあわせるのも時には大事ですが、自分たちの場合はその時の衝動もけっこう大切だったりもするので、一年先のことは全く予測がつきませんが、このバザールが次の可能性を少しでも広げるきっかけになったらうれしいです。

青空バザールの出品情報はこちらです。⇒ https://horo.bz/tag/aozora2014/
鉄道ジャーナル以外はほとんど残ってますので(笑)、お気軽にお訊ねください。

「記憶の蔵 映画ポスター市」ポスター一覧

完売の表示がないものも、すでに売れてしまっている場合もございますので、お気軽にお訊ねください。

園子温監督の自作コピーチラシ

園子温監督の自作コピーチラシ

『自転車吐息』園子温監督自作コピーチラシ(全)
昨晩のこと。「パンフレット紙モノ大放出市」の値付けをしていたらこんなものが出てきました。1990年、中野武蔵野ホールでの『自転車吐息』公開にあたり、園子温監督が作ったコピーチラシ。「なんだこれは!」と訝しみながらもつい読んでしまう、そんな異様な迫力があります。(以下、画像クリックで拡大)
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「最近の日本映画の監督たちの自分の作品に対するオトシマエのつけ方がなっとらんので挑戦的な意味で、これを刷ります。」
『自転車吐息』園子温監督自作コピーチラシ(部分/口上)
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「名古屋で昨年、4日間だけ劇場で公開しましたところ、それだけで、89年のベスト5に進出しました。」
『自転車吐息』園子温監督自作コピーチラシ(部分/名古屋シネマテーク)
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では園監督はいつこのチラシをを撒いていたかというと、たぶん1990年の2〜3月のこと。なぜなら、その頃中野武蔵野ホールでロードショー公開されていた韓国映画『馬鹿宣言』『暗闇の子供たち』のパンフレットに挟まれていたからで、おそらくは劇場の前で日ごと出待ちをして配ったのでしょうね。園監督が『自転車吐息』の告知のために遂行したチラシ作戦(とその成果)のことは、以前買い取った『非道に生きる』でちらっと読んだ憶えがありますが、こうしてその痕跡を実際に目にすると、やはり頭が下がります。ご興味のある方は、ぜひご来場のうえ手に取ってみてください。

  『馬鹿宣言/暗闇の子供たち』チラシ  『自転車吐息』仮チラシ?

それにしても、中野武蔵野ホール、懐かしいです。あの路地周辺のちょっといかがわしい感じと、すぐそばにあったジャズ喫茶「ビアズレー」のパラゴンが、目の前に浮かんできました。

「小坂忠、古書ほうろうで歌う Vol.2」アルバム

2014年4月4日に開催したライブ、「小坂忠、古書ほうろうで歌う Vol.2」の写真です。

忠さんが「夢」を見続けることを思い出させてくれました。
西海さんのコーラスを聴き、震災直後の関口直人さんとのライブで全員で分ち合ったあのかけがえのない時間が甦ってきました。

セットリスト
小坂 忠(Vo/G)
西海 孝(G/Cho)

  1. People get ready
  2. 夢のつづき
  3. He comes with glory
  4. How sweet it is
  5. ひとりじゃないから
  6. 向きを変えて
  7. やり直せばいい
  8. 明日になれば
  9. 出会いの歌
  10. 〜 休憩 〜

  11. 機関車
  12. ほうろう
  13. 一冊の本があれば(CMソング)
  14. Hot or cold
  15. Birthday
  16. I believe in you
  17. What a wonderful world
  18. しらけちまうぜ
  • アンコール Hound dog
  • アンコール さよならカラー

古い洋画のパンフレット ジャック・ドゥミの「淫乱の罪」のことなど

古い洋画のパンフレット ジャック・ドゥミの「淫乱の罪」のことなど


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谷根千〈記憶の蔵〉で、4月19日(土)に開催する「パンフレット紙モノ大放出市」。連日その準備に大わらわですが、定休日の昨日は、そのなかから1950〜60年代の洋画パンフレット約200冊に値付けをしました。たとえばこんなラインナップ。日比谷映画街華やかなりし頃の雰囲気が伝わってきます。

個人的にうれしかったのは、1963年に有楽座で公開されたフランスのオムニバス映画『新・七つの大罪』。ジャック・ドゥミが日本で初めて紹介されたのは、このなかの「淫乱の罪」だったのだなあと、植草甚一の解説「あたらしいオムニバス映画のつくられかた」を読んで再認識しました。

以下、引用します。

 このオムニバス映画を見にいったとき、なによりも楽しみになっていたのは、ヌーベル・バーグとして騒がれた、フランスの若くて頭のいい監督たちが、どんな演出をみせてくれているかという興味でしたが、タイトルがうつったとき、こいつは凄いなあ、とおもったのは、フランス文壇や演劇界の第一線にたって現在活躍している人たちが、シナリオを書いていることでした。

(中略)

 第四話の「淫乱の罪」は、これまた初紹介される新人監督ジャック・ドミーの演出になるもので、まだ三十一才の若手ですが、最近つくった恋愛映画「ローラ」で、たいへんな話題になりました。これも輸入されるだろうと思いますが、この「淫乱の罪」では、フランス文壇の大物であるロジェ・ペールフィットが、はじめてシナリオに手をそめていることに注意がむかいます。

植草さんが「輸入されるだろう」と書いている『ローラ』が、ようやく日本で公開されたのは1992年のこと。そのあたりの経緯については、昨年のフランス映画祭でのトークショーで秦早穂子さんが語ってらっしゃるので、未読の方はぜひ。
http://cineref.com/festival/2013/07/-lola-2013.html

『新・七つの大罪』より「淫乱の罪」