日々録」カテゴリーアーカイブ

東大襖クラブさん

先日のこと自宅の障子の張り替えをしていただきました。

今の家に越してきて7年、障子紙の劣化もあるのかこのところちょっと当たっただけで、ビリッ、ビリビリ、、と各所が破れ、世情も相まって見るたびに心が荒んできていたので、そろそろ張り替えなければと子どもの頃の記憶を手繰るも、障子を庭に運んで、たわしを水を浸け桟に残った障子紙を洗い落としたのではなかったか。ベランダでやるわけにもいかず、1階まで下ろすのもなぁ〜と段取りを考えるも、できる気がしない。

途方に暮れていたある日、「東大襖クラブ」さんの存在を知りました。
しかし折悪く感染防止のための受付見合わせ中、Twitterをフォローさせていただいたうえで時々覗きにいって、再開の報を見つけてようやく依頼にこぎつけました。
こちらで用意するのは、洗面器、新聞紙、雑巾、ゴミ袋、作業台(食卓)。

来てくださったのは農学部のYさん。来年は卒業して獣医さんになられるそうです。

ブルーシートで床を養生すると、さっそく作業開始。
障子を食卓に寝かせ、水を含ませた雑巾で裏側から桟に沿ってなぞっていくと、なんとあっけなくペロンと障子が剥がれるではないですか!子どもの頃のあの作業はなんだったのか。訊くと新しめの障子は大抵剥がしやすいとのこと。
少し残ってしまった部分はヘラでこそげ取り、桟に刷毛でトントンと糊を置いてから、ロールの障子紙を端に合わせてのせくるくるっと前面に広げて周りの余分を刃を新しくしたカッターで切り落として1枚完成。同じ作業を5枚分。格子が多かったり組子のような障子は糊を置いていく間に最初のほうの糊が乾いてしまうので大変だけれど、今回は桟が少なく作業しやすいとのこと。
紙の種類は事前に選ぶことができたので一番丈夫な「タフトップ」に張り替えていただきました。ちなみにタフトップは、カッター作業がしやすいそうです。和紙ってカッターに引っかかりますものね。

入部一年目はひたすら部室に籠もり張り替え孤独練習を重ね、依頼先にに出かけるのは二年めから。
メンバー男女構成比は、2:1くらいだそうで、大学全体に比べると女性の割合が多いのだとか。
以前は他の大学にも襖クラブ的なサークルがあったそうなのですが、いまも活動しているのは東大だけになってしまったとか、ご卒業後のことなどいろいろお話を伺いながら、10時にスタートして12時過ぎには出来上がりました。
早い!夢のようです。
料金は、手間賃、紙代、交通費で11,300円+お昼代。
お昼つきというのが本来の条件のようですが、感染防止のため今はお昼代をお渡しすることになっています。

というわけでお薦めです。我が家は障子しかありませんが、サークル名のとおり襖の張り替えも頼めます。
創部65年以上の歴史があるそうで(!)、親子代々の依頼や、お寺などからの依頼も多いそうですよ。

東大襖クラブ: https://fusumaclub.com/wp/
Twitter: @fusumaclub

田川可琳さん

不忍ブックストリートを知ってくださってるみなさまへ

一箱古本市を前にとても悲しいお報せが届きました。
不忍ブックストリートの実行委員仲間の田川可琳さんが、2022年3月28日急性心不全で急逝なさったそうです。
実行委員のSlackでは一箱古本市に向けやり取りが増えてきて、田川さんのお返事を待っていたところでした。
28歳だったとのこと、とても残念で、信じられない信じたくない気持ちです。
体調を崩されていたそうなのですが、まさかこんなことになるとは、おそらくご本人もご家族も思われていなかったようです。

田川さんは2017年に「しのばずくんの本の縁日」ではじめて助っ人さんをしてくださって以来、2018年は新しいMAPを配ってくださり、2019年には実行委員募集にお応えくださり、当日は南陀楼綾繁さんとともに「アイソメ」のスタッフとして詰めてくださいました。スタンプラリーをまわってくださった方もたくさんいらっしゃったと思いますが、「不忍ゆく先には本や」の文面は、いくつもの候補のなかからしのばずくんにより選出された、田川さんが考えてくださったものでした。

古書ほうろうにとってもかけがえのない方でした。
最後にお目にかかったのは、昨年9月23日だったと思います。感染拡大で一箱古本市が開催できないなか、7月7日からスタートした「お店で一箱古本市」に田川さんが〈可琳堂〉としてご出店くださった、その搬出の日でした。感染者数急増を受け急遽臨時休業、田川さんの〈可琳堂〉も中断となってしまったのに、営業再開をよろこんでくださいました。
いったん電車の距離にお引っ越しなさってまた歩ける距離に越してこられたあとで、池之端への道順などをお話しました。まだお話の途中のようです。

わたしたち自身もまだ受け止めきれていませんが、田川さんが居てくださったことを言葉にしてご家族にお渡しできたらと考えました。
もしよろしければ、お手紙、カード、メールなど形式は問いませんので、5月15日までに古書ほうろうまでお寄せください。責任を持ってお届けいたします。
(メールの場合は文章をこちらでプリントアウトします。)

 110-0008
 東京都台東区池之端2-1-45 パシフィックパレス池の端104号
 古書ほうろう 03 3824 3388
 koshohoro*gmail.com(*→@)
 営業時間:月火定休/12〜20時

 

初めてお目にかかったのはいつだったか、いつの間にかお客さんとして頻繁に通ってくださるようになっていて言葉を交わしていました。「しのばずくんの本の縁日」のお話をしたところすぐに助っ人さんとして申し込んでくださいました。初めての試みで不安だらけのイベントに、若い田川さんが興味を持ってくださったことがうれしく、背中を押してもらえたような気持ちになれたことを憶えています。
縁日当日は、実行委員店舗のレジ係を担当してくださいました。一緒にレジ番をした時間帯はなんだか暇で、とりとめのない話を聞いてくださったことを少しひんやりしはじめた養源寺さんの境内の空気とともに思い出します。

神保町の書肆ひぐらしさんでのお手伝いのこと、お姉さん、妹さんのお話をするときのキラキラ輝いたお顔、声、吉上恭太さんのサウダージな夜でたのしそうにしていた後ろ姿が忘れられません。
北村太郎『港の人 付単行本未収録詩』はほうろうで買いたいと入荷を待ってくださったり、2019年の当店の移転の際もお手伝いしてくださいました。

とてつもなくチャーミングなできごともありました。その年の秋のこと。
ふいに現れた田川さんが「開店おめでとうございます。」とニコニコ鞄から取り出したのは大きなバターナッツ南瓜でした。珈琲をご注文くださって、席にお持ちすると「ミカコさん、栗、食べますか?」と、今度は大ぶりな栗がふたつ、鞄から出てきたのでした。
マジックを見せられているようなたのしさ、田川さんの思いつきがなんとも可愛らしく、自然が好きなことは会話の端々からうかがえていたけれど、この方はほんとうに森の精か何かではないかしら、と真剣に考えたものでした。

〝入り口にホワイトボードがかけてあって、「今日入荷した本」と「昨日売れた本」が書いてあるのが好きだった。店とお客との間に循環する流れがあることが分かる。〟
こちらは2020年、経堂の大河堂書店さんの閉店を知った際の田川さんのツイートです。
影響を受けたわたしはさっそく黒板をひっぱり出してきて店先に入荷情報を出すようになりました。そのことはお伝えできたのだったか。

書道家でもあり文字への深い思いをお持ちだった田川さん。ある晩夏のツイッターには、公園の広場で地面に水を含ませた筆で文字を書いている姿がありました。

古書店ギャラリーにお勤めのときは作家さんに寄り添い、アニメーション関係の仕事に就かれてからは、やはりかけがえのない存在として本づくりなど丁寧な作業を重ね大きなプロジェクトにも携わっていらしたことを今回のことで知りました。

まっすぐで、好奇心いっぱいで、細やかさと大胆さを併せ持っていて、義侠心にあふれさりげなく人を応援することができる気遣いの人。歳を知れば娘のような年齢だったのに近くから遠くからいつも励ましてくださっていました。
これからどんな翼をのばし、どんなふうに羽ばたかれるのだろうと、夢を感じさせてくれる存在でもありました。

田川さんのお気持ちに自分たちはお応えできていたのか。
もっとお話を聞かせてほしかったですし、とても感謝はお伝えしきれていません。ただただ寂しいです。

田川さんがイベントなどでお付き合いのあった平井の本棚さんから、たまたまこの時期にお店での古本市にお誘いいただいていて、わたしたちの知らないところでの田川さんのご活躍を教えていただき、語り合う機会を与えていただいたことに救われています。いまとなっては田川さんが引き合わせてくださったようにも思えてきます。

広く青い空、真っ白な雲に思う存分文字を書いてください。
どうか安らかに。いつかまたお目にかかれますように。

クルディスタンを描いた児童書 ジャミル・シェイクリーの2冊 メモ

ぼくの小さな村 ぼくの大すきな人たち
ジャミル・シェイクリー 著/アンドレ・ソリー 絵
野坂悦子 訳
1998年 くもん出版

 
いちじくの木がたおれ ぼくの村が消えた
ジャミル・シェイクリー 著/津田櫓冬 絵
野坂悦子 訳
2001年 梨の木舎

イラク北部のクルディスタン出身ジャミル・シェイクリーによる作品です。
『ぼくの小さな村 ぼくの大すきな人たち』では穏やかな村の暮らしが、『いちじくの木がたおれ ぼくの村が消えた』では侵略により生活が破壊され捕虜となる母と子が、どちらも少年の目を通して語られており、クルディスタンの「光」と「闇」、対をなす二作。
『いちじくの木がたおれ ぼくの村が消えた』には、新藤悦子、きどのりこによる解説のほかクルド関連年表が収録されている。

【予告】「〈はじめての総選挙〉お祝い割り引き」を実施します。

市民に目を向けない政治家とおさらばする方法をいろいろ考えて、若い方々の投票率がほんとうに低いのなら、一人でも多くの方に投票に行ってもらいたくて、「はじめての総選挙割り」を考えました。
この秋はじめての衆議院選挙を迎え、投票する方々にお祝い割引きを実施します。
うちの2割引では、よろこんでくださる方そんなにいないかもしれませんが、せめて何か気づきのきっかけになればうれしいです。

未来にたくさんの可能性のある若い人たちにこそ、選挙に行って「政治に注目してます」と政治家の方々に存在感をアピールしてほしいです。
大人ってバカじゃない?と思ったら、ぜひ大切な1票で、意思表示をしてください。

選挙の直前になって慌てないよう、いまからいろいろ調べて投票に行きましょう!
ほうろうの営業がままならなくなるくらいたくさんの投票デビューをお待ちしてます。

 

【対象】
2021年衆議院選挙が * 生まれてはじめての「総選挙」で、投票に行かれた方
* 2017年10月24日から、2021年の投票日の翌日までに18歳になり、選挙権を得られた方

 

【期間】
期日前投票開始日〜選挙日から1ヶ月後まで(詳しい日程は選挙日が公示され次第更新します。)

 

【割引内容】
お会計の際に「年齢の分かる身分証」と「投票済証」をお見せください。
古本、中古レコード・CD、喫茶のお会計から、2割引きいたします(お一人1回限り)。
(新刊など一部除外品あり)

 

選挙の日に予定が入ってしまって投票に行けない、住民票の移動が間に合わない、などの事情がある場合は、
期日前投票制度、不在者投票制度(郵便投票、洋上投票など)、在外選挙制度などが利用できます。
総務省|投票制度⇒


Twitter経由で興味深い記事に出会いました。いまの日本の制度が完成形というわけじゃないですよね。自分たちに近い意見の政治家を増やすことで、変えていける可能性を大切に育てていけるといいな。

日本とフィンランド、地方選挙を比べて見えてきた「決定的な違い」

やさびしいかるた

今週は思いがけないことがありました。

「あの、以前千駄木のお店のときに、お店の前のスペースでかるたのイベントをしたいとお声がけさせていただいて、そのときに貸はらっぱ音地さんをご紹介いただいた者です。」

帳場の前に立たれたのは、読み札と絵札を正解で合わせるのではなく、言葉と写真をその時の直感で合わせるオリジナルかるた「やさびしいかるた」を作っているかわぐちさやさんでした。

千駄木の店のときに、前のスペースを使わせてもらうには、、というご相談だったと思うのですが、ちょっと条件的な難しさもあって貸はらっぱ音地さんをご紹介したのでした。
音地さんで初めて人前でイベントなさったのをきっかけにHAGISOさんで展示ができることになったり、大道芸 ヘブンアーティスト ライセンス認定を得たり、鬼子母神の手創り市に出店したり、といろいろ活動の場が広がっていったのだそう。
「すべてのはじまりはほうろうさんに音地さんをご紹介いただいたことから始まったのです。今年やっと流通できるかたちのかるたを作ることができたのですが、その矢先のコロナで、、でも今日、やっとこちらに来られました!」と、カバンから『やさびしいかるた』を出して、プレゼントしてくださいました。(せっかくなので販売用も1セットお預かりしました。)

うちが何かした、というより、かわぐちさんが一歩を踏み出したことで広がった、のですが、でも、そんなふうに何年もおもってくださってたのはうれしいです。
ここ最近はコロナにも政治もどんよりしがちでしたので、急に雲間から陽が射したみたいな明るい気持ちになりました。

かわぐちさやさんの「やさびしいかるた」(2,800円+税)
 1. 写真の札を場に広げます
 2. 言葉の札を読みます
 3. 言葉からイメージした写真の札を選びます
 4. なぜその札が合うと思ったのか、心の中でまたは言葉にして話をしてみましょう
https://yasabishii-carta.amebaownd.com/

ひとりでも多くの方に見ていただきたくて、店の入口すぐのレンガの壁に、絵札(写真)の一部を貼りました。
左下に読札(言葉)が置いてありますので、こっそり合わせて遊んでみてください。

 

営業再開に際し、古書ほうろうからのお願いです。

お客さまへ

たいへんご無沙汰してしまいました。
コロナだけでなくニュースを見るたび憂の尽きない2ヶ月でしたが、みなさまはどのようにお過ごしでしたか。

古書ほうろうは、6月3日(水)より営業を再開いたします。
営業時間は当面、12〜20時(1時間早じまい)でスタートします。
定休はこれまで通り、月火定休です。

まず物販のみでスタートし、お客さまの流れや感染の状況をみながら喫茶のほうの再開に繋げたいと考えています。

臨時休業中も買い取りのご相談や、通販でのお買い上げ、たくさんの励ましをありがとうございました。
しばらくぶりのご対応で挙動不審になるかもしれませんが、のんびりぼちぼちやってゆきます。
東京の感染者数もいまひとつな動きが不透明のようですので、どうかくれぐれも無理のないようになさってください。

〜〜〜ご入店に際してのお願い〜〜〜

■ 体調の悪い方はご入店をお控えください。
■ 必ずマスクをご着用ください。
お持ちでない方には使い捨てマスクを実費(50円)にてお分けいたしますのでご協力ください。
■ 汗ばむ季節に入りますので、ご入店後、まずは手洗いをお願いいたします。
■ トイレのご使用はしばらくの間ご遠慮ください。
■ 店内に複数のお客さまがいらしゃる場合は、距離感を保つようご協力ください。

臨時休業のお知らせ

新型コロナウイルスの感染が拡大している状況をふまえ、3月28日より営業を見合わせております。

東京都の休業要請期限は5月31日までですが、状況によっては6月1日以降も引き続き休業いたします。その都度判断していくつもりです。

今後の変更につきましては、Twitterで発信するとともにこちらに掲載いたします。なお、「日本の古本屋」での通販は継続中です。

お問い合わせは、メニューのお問い合わせフォームからお願いいたします。
(2020年5月6日更新)

安倍政権による、人権を踏みにじるさまざまな行為は許されるものではありません。
抗議、意見し続けます。

医療従事者のみなさま 病院勤務のみなさま
配送ドライバーのみなさま
そのほか社会生活維持のためお仕事を続けてくださるすべてのみなさまの安全に
少しでも協力できるよう知恵を働かせます。